第128回 – 2007年10月
「”グリーンピア南紀”再生事業の報道」事案のヒアリングと審理
「部落解放同盟大阪府連幹部からの訴え」事案の審理…など
「”グリーンピア南紀”再生事業の報道」事案のヒアリングと審理
“グリーンピア南紀”の再生事業を請け負った香港ボアオのオーナー蒋暁松氏が「読売テレビの報道により、自分の名誉が著しく傷つけられ、また、取材・放送によりプライバシーが侵害された」と申し立てた事案について、放送人権委員会は10月の定例委員会で、申立人・被申立人の双方を個別に招きヒアリングを行った。
申立人の代理人は、「ボアオは土地・建物の賃貸借期間の10年が過ぎれば、勝手に転売できる」とのキャスター発言や「それを狙っている」とのゲストのコメントは、明らかな誤解であり、名誉を著しく傷つけられたと主張した。また、自宅周辺の撮影取材で、家族のプライバシーが侵害されたと訴えた。
被申立人の読売テレビは、「キャスター、ゲストの発言は、事実関係を踏まえて意見を述べたもので、名誉毀損にはあたらない。撮影した建物は、会社と自宅を兼ねたものであり呼び鈴も同一であった。自宅であることは番組では一切報道していない」と主張した。
委員会は、ヒアリングの後、審理を行い、11月初めに起草委員会を開き起草案を作成し、次回11月の委員会では、その案をもとに更に審理を行うことになった。
「部落解放同盟大阪府連幹部からの訴え」事案の審理
本事案は、部落解放同盟大阪府連書記長らが「大阪市の償還金補助問題を取り上げた毎日放送の報道は、解放同盟やそのリーダー個人の名誉権を著しく侵害している」と訴えているもの。
9月の委員会でのヒアリングを受けて、10月5日には起草委員会が開かれ、「委員会決定」の起草委員会草案作りが行われたが、本委員会では、起草委草案をタタキ台に、「本件報道による名誉権侵害の成否」や「表現の仕方及び取材のあり方」などについて意見を交わした。
その結果、「委員会決定」案について大筋意見がまとまり、構成の修正や字句・文言の手直しなどを経て、11月12日(月)午後に「委員会決定の通知・公表」を行うことになった。
苦情概要
9月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。
◆人権関連の苦情[6件]
- 審理・斡旋に関する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・3件
- 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・3件
その他
放送人権委員会設立10周年記念イベントについて
放送人権委員会は今年、発足10周年を迎えた。これを記念し、12月5日(水)に「放送人権委員会10周年フォーラム」を、全国都市会館(東京千代田区平河町2-4-2)で開催することにしているが、これまでにその内容や出席者の顔ぶれがほぼ固まり、10月の委員会に報告された。
報告内容は下記の通り。
- タイトルは「放送と人権~放送倫理の確立を目指して~」。
- フォーラムでは、まず、放送人権委員会の竹田稔委員長による「放送による人格権侵害と放送倫理」をテーマとした基調講演があり、次いでパネルディスカッションとなる。
- パネリストには、ジャーナリストの江川紹子さん、読売新聞編集委員の鈴木嘉一さんをはじめ、放送局側からも加わって頂く。コーディネーターは放送人権委員会委員でもある弁護士の三宅弘さんが担当する。
- 放送による人権侵害や放送倫理をめぐる問題については、BPOにも視聴者から多くの意見や批判が寄せられている。このためフォーラムには、全国の放送局のコンプライアンス担当だけでなく制作現場の人達にも出席してもらい、人権を守る放送、放送倫理の確立、放送の自主・自律のため具体的で実りのある意見交換を行う。
10月委員会は、次回委員会を11月20日に開くことを決め閉会した。
以上