放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第150回

第150回 – 2009年7月

「保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え」事案の審理

「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案の審理 ……など

「保育園」事案の審理の結果、本事案の「委員会決定」が大筋で固まった。また、「割り箸」事案の実質審理が行われたほか、「徳島・土地改良区横領事件報道」事案で、今年3月に勧告を受けたテレビ朝日のその後の対応について報告があった。「派遣法」事案の審理は、次回委員会に持ち越しとなった。

議事の詳細

日時
2009年7月21日(火) 午後3時~8時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

「保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え」事案の審理

6月29日のヒアリング後に発足した起草委員会での検討を経た「委員会決定」案が提案された。審理の結果、大筋で了承され、委員長と起草委員で一部修正のうえ、持ち回り委員会によって最終決定することになった。また、一部委員は決定理由などについて補足意見を書く意向を示した。
本事案は、大阪府の保育園の理事が、道路建設のため保育園の野菜畑が行政代執行によって強制収用された当日、園児たちを現場に動員して並ばせたなどと事実に反することを、2008年10月19日のTBS『サンデージャポン』で放送され、名誉を侵害されたと申し立てたもの。

「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案の審理

本事案は、東京都在住の勤務医とその家族から、2008年2月13日にTBSのニュース情報番組『みのもんたの朝ズバッ!』で放送された、割り箸事故を巡る判決報道の内容が、事実誤認及び捏造を含む内容で、医師としての社会的評価を低下させるものであり、名誉を侵害されたと申し立てられたもので、7月の委員会では申立人からの「反論書」「反論書補充書」、TBSからの「再答弁書」を受けて、5月の委員会に引き続き、判決報道のやり方として適切であったかどうか、公正さに欠ける点があるのかどうか、などについて実質審理を重ねた。
次回委員会では、さらに論点をまとめて審理を進めることとした。

「徳島・土地改良区横領事件報道」事案の当該局対応

上記事案で重大な放送倫理違反があったとして、今年3月30日に「勧告」を受けたテレビ朝日は、その後の対応と取り組みを取りまとめた報告書を委員会に提出した。事務局より報告し、了承された。
(テレビ朝日の報告内容は、ホームページの「放送人権委員会委員会決定第39号」にある「当該局の対応」の項をご参照下さい。)

仲介・斡旋解決事案の報告

事務局より下記案件について報告し、了承された。

「引ったくり事件の被害者が取材を拒否したのに実名報道された」と抗議

2009年5月24日、在阪の民放テレビ局が、ニュース番組の中で、引ったくり事件の被害者を実名で報道した。この放送内容について、被害にあった女性は、「事件後、取材に来た記者に対して”プライバシーに関することなので取材はお断りします”とはっきり言ったのに、ニュースで、実名、職業、年齢などのプライバシーが報道され、多大な精神的苦痛を受けた。犯人はなお、逃走中だ」と局に訴えた。 
これに対し、当該局は、「取材拒否を実名報道拒否とは受け止めなかった。事件報道では実名報道が原則」と説明したが、女性は納得せず、局側の謝罪を求めて放送人権委員会に苦情を申し立ててきた。事務局では、当該局に対し、女性に納得してもらえるよう説明するなど話し合いでの解決を勧めた。
双方で話し合った結果、7月13日に当該局担当者が女性宅を訪ね、「お詫び」の文書を提出した。これにより問題は解決を見た。「お詫び」の内容は、(1)取材を拒否した被害者の真意を汲み取り、実名報道の適否についてより慎重に対応すべきだった。(2)今後は、被害者から匿名を希望された場合には、その理由と事件の重大性などを比較考量し判断していくなどというもの。
事務局からの問い合わせに対し、女性は、「プライバシーを侵された怒りは消えませんが、改善策を含めたお詫びがあったことを前向きに受け止め、これで解決とします」と述べている。

その他

次回委員会は8月4日(火)に臨時で開かれることになった。

以上