青少年委員会

青少年委員会 審議事案

2002年4月

『とくばん』TBS

『とくばん』(3月28日放送)に関するTBSからの回答

意見の要旨

  • ZONEに対する、石橋貴明氏のあだ名付けは明らかにセクハラだ。本人の抗議にも関わらず、笑い者にしている構図を心なくも放送するTBSは社会的責任を果たしていない。もし自分の子どもがこのような扱いをされていたらという思い、また、それを放送することによる人権侵害に心及ばない放送関係者の人格を疑う。報告を求めたい

    (3/29メール受 男性 43歳 長崎)

  • 年端もゆかない少女達が、顔を「男性器そのものだ」と揶揄されている光景は痛々しくて正視できなかった。子ども達がよく見る番組なのだから、その影響というものについて、放送局は十分配慮すべきではないか。あのようなセクハラ・いじめ行為をそのまま放送するということは、放送局がその行為を認め、助長することになる。

    (4/4ファクス受 女性 53歳 石川)

局の回答

「とくばん」に関するご意見についての回答

ご指摘の、歌手グループ・ZONEのメンバーへのニックネームの件は、あきらかにセクハラにあたり、いじめにもつながりかねない行為でした。番組スタッフ一同、ZONEのメンバーおよび視聴者の皆様に対して深くおわびいたします。

以下、どうしてこの部分が放送されるに至ったか、経過をご説明します。

「とくばん」は、音楽バラエティー番組「うたばん」の2時間スペシャル版です。この「うたばん」は、アーティストの曲を紹介すると同時に、アーティストと番組司会者のトークによりそのアーティストの個性を引き出しキャラクター付けする番組として、視聴者に親しまれています。番組の恒例としてアーティストのキャラクター付けのため、番組に登場する新人アーティストには、番組の司会者が即興でニックネームを付けています。このニックネーム付けは視聴者からもご好評をいただいており、番組の目玉企画と考えています。

3月28日放送の「とくばん」には、ゲストとしてZONEの皆さんにご出演いただきました。

それまでZONEには、「うたばん」に2回出演していただいていましたが、メンバー一人一人のキャラクター付けが、番組上不十分であると考えていました。そこで番組の司会者に、番組の恒例通り、収録において即興でZONEのメンバーの一人一人にニックネームをつけてもらい、彼女たちをフィーチャーしようと、企画いたしました。

そして、収録の際メンバーの一人に対し付けられたニックネームは「××××の先」(××××は男性性器の幼児表現)というものでした。

収録後、この発言がテレビで放送されること、および発言を受けたメンバーの気持ちを考慮し、番組スタッフが対応を検討し、所属レコード会社および所属事務所とも相談の上、以下のように処置することにいたしました。

  • その後のトーク部分において、そのニックネームが出続けたため、すべてのトークを削除する事は番組上できず、かつ不自然な流れでの放送を避けるため、そのニックネームについての発言を最小限にとどめる。
  • 放送においては発言の声は消し別の音に差し替え、発言をフォローするスーパーにはイラストで加工を施す。(仏具の鉦と木魚のイラストを使い、音は鉦と木魚の出す音を使用)

しかしながら、この処置では不十分であったため、結果として、ZONEのメンバーおよび視聴者の皆様に不快感を与えてしまったわけです。これは、私ども番組スタッフのセクハラに対する状況認識不足、世間的常識の不足といわざるをえません。誠に申し訳なく思っています。

今後は、このようなことを起こすことのないよう、より一層、番組制作について考えて行きたいと思っています。そのために、以下のような対策を検討しています。

  • 「うたばん」以外の番組のプロデューサーやディレクターとも、倫理上問題がありそうな部分の放送について、積極的に意見を交換しあう。
  • 収録後の編集およびVTRチェック作業において、番組スタッフだけではなく社内の他のスタッフからの意見を取り入れる。
  • 発言および演出について女性スタッフから見た意見を集め、番組制作に反映させる。
  • 疑問の出た発言および演出については、番組スタッフだけで判断することなく、関連部署の判断をあおぐ。
  • 番組スタッフを、放送倫理問題などの勉強会に積極的に参加させる。

これからも更に会議を重ね、新たな対策を考えていきたいと思います。