放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第184回

第184回–2023年6月

NHK『ニュースウオッチ9』が審議入り

第184回放送倫理検証委員会は、6月9日に千代田放送会館で開催された。
NHK『ニュースウオッチ9』は、エンディングVTRにおいて、ワクチンを接種後に亡くなった人の遺族の訴えを、新型コロナウイルスに感染して亡くなったと受け取られるように伝え、適切ではなかったと謝罪した。当該放送局から提出された報告書や番組DVDを踏まえて協議した結果、放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
前回の委員会に引き続き、民放ラジオのコメンテーター発言について議論したが、当該放送局の番組審議会での意見や是正措置を評価し議論を終了した。
5月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告され議論した。

議事の詳細

日時
2023年6月9日(金)午後5時~午後8時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. NHK『ニュースウオッチ9』について審議

NHKは5月15日の『ニュースウオッチ9』のエンディングで「新型コロナ5類移行から1週間・戻りつつある日常」と題する1分5秒のVTRを放送した。
VTRには、ワクチン被害者の遺族の会から遺族3人が出演。「遺族の人たちの声を届けていきたい」「風化させることはしたくない」などと語ったが、3人がワクチン接種後に亡くなった人の遺族だとの説明は無く、テロップで「夫を亡くした」「母を亡くした」という紹介にとどまった。このため視聴者には、新型コロナウイルス感染により亡くなったかのような印象を与える放送となった。
NHKは遺族の会から抗議を受け、16日の同番組で「新型コロナに感染して亡くなったと受け取られるように伝えてしまった。適切ではありませんでした」と謝罪した。
委員会は、NHKから提出された報告書と番組DVDを踏まえて協議を行った。その結果、企画、取材、編集の各段階で不明な点が多く報告書は納得できる内容ではなく、放送倫理違反の疑いがあることから、放送に至った経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
委員会は今後、当該番組の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2. 民放ラジオのコメンテーター発言について議論

民放ラジオ局でコメンテーターが発言した内容とそこに至る経緯について、前回に引き続いて議論が行われた。当該放送局の番組審議会で厳しい意見が連続して出されていることや、当該放送局でとられたコンプライアンスの強化や発言に関する知識を深めるなどの活動があり、是正措置が一定程度評価できるものであることを考慮し、議論を今回で終了することにした。

3. 5月に寄せられた視聴者・聴取者意見を議論

5月に寄せられた視聴者・聴取者意見のうち、過大なノルマを達成するために職員やその家族が不必要な契約を結ぶいわゆる“自爆営業”がJAで横行している実態を放送した際、インタビューに応じたJA職員の身元を隠す措置が不十分だったため、特定され退職に追い込まれたとする報道を受けて、取材対象に対する不誠実な姿勢は問題だとの意見が寄せられたことなどを事務局が報告し、議論した。

以上