「オウム事件 死刑執行特番に対する申立て」審理入り決定
BPO放送人権委員会は、10月15日に開催した第274回委員会で上記申立てについて審理入りを決定した。
フジテレビは、2018年7月6日の「FNN 報道特別番組 オウム松本死刑囚ら死刑執行」で、オウム真理教事件の死刑囚13人のうち松本智津夫死刑囚ら7人の死刑執行に関する情報を速報するかたちで放送した。
特別番組は、各拘置所からの中継、スタジオでの事件の解説、被害者遺族らの会見、国内外の反応など約1時間半にわたって生放送され、刑の執行情報は更新しながらフリップなどで伝えられた。
申立人は松本元死刑囚の三女で、番組は「人の命を奪う死刑執行をショーのように扱った」として、遺族の名誉感情を害されたと訴えている。また、スタジオのコメントも名誉感情を傷つけるものであったなどと主張し、フジテレビに謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してフジテレビは、速報情報を扱う生放送の時間的、技術的制約の中で、複数の死刑囚の執行情報をできるだけ視聴者に分かりやすく伝えたと説明し、「死刑執行をショーのように扱った」ものではなく、人権侵害にあたらないなどと反論している。
15日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。
放送人権委員会の審理入りとは?
「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。
* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。