2018年1月に視聴者から寄せられた意見
全国各地の大雪による被害のニュースや、成人式の取材に関する報道のあり方への意見。年末年始の長時間スペシャル番組への意見など。
2018年1月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,589件で、先月と比較して437件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール76%、電話22%、FAX1%、手紙ほか1%。
男女別は男性65%、女性34%、不明1%で、世代別では30歳代26%、40歳代25%、50歳代20%、20歳代17%、60歳以上9%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。1月の通知数は923件【44局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、24件を会員社に送信した。
意見概要
番組全般にわたる意見
新年を迎え、全国各地の大雪による被害のニュースや、成人式の取材に関する報道のあり方への意見が寄せられた。また、年末年始の長時間スペシャル番組への意見も多かった。
ラジオに関する意見は30件、CMについては25件あった。
青少年に関する意見
1月中に青少年委員会に寄せられた意見は120件で、前月から10件増加した。
今月は「表現・演出」が34件と最も多く、次に「低俗、モラルに反する」が21件、「暴力・殺人・残虐シーン」が15件、と続いた。
「低俗・モラルに反する」では、バラエティー番組で裸芸の芸人の出演について意見が寄せられた。「暴力・殺人・残虐シーン」では、バラエティー番組での女性タレントの扱いについて意見が寄せられた。
意見抜粋
番組全般
【取材・報道のあり方】
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首都圏でおよそ4年ぶりの大雪が降った。夕方のニュースで過去の映像を流していたが、左上に年月日のテロップが出ているだけで、現在の状況と混同してしまう。特に、駅の運行情報などは、今起こっている事象と勘違いしてしまいそうだ。過去の映像を流す場合は、枠を付けるなど、今の状況ではないことをもっと強調するようにしないと、情報を誤認する恐れがある。
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毎年、福岡・北九州の成人式を扱う意図はどこにあるのか。「日本一盛大な」と言っていたが、何を根拠にしているのか。全国各地の成人式を取材したわけでもなく、初めからここだけを特集しようと決めて、ごく一部の着飾りが派手な若者を取り上げ、ばかにするつもりだったに違いない。基本的なマナーはきちんと守っているのに、全体的にガラが悪いかのように報じるのは偏見を植え付けるだけだ。一生に一度のめでたい日を、不愉快な日にするのはやめてほしい。
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プロ野球元監督の訃報の中で、すい臓がんの余命について報じていたが、治療している人たちにとって希望をなくすものだった。私の父もすい臓がんで闘病中で、治るのではないか、少しでも長生きできるのではないかと日々辛い治療を続けている。その状況のなか「余命○○以内」とテレビで告げられると、絶望に追いこまれ、治療への意欲を削がれてしまう。病気を知ることは大切だが、余命までは報道すべきでない。余命は人それぞれである。治療を受け戦っている人たちへの配慮を欠いた報道に抗議する。
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人気女優の兄、酒気帯び運転容疑で逮捕について。女優の家族というだけで、大々的に名前、年齢、職業などがさらされるのはどうなのか。ましてや「○○の兄」という表記は、女優本人にも問題があるような印象を受ける。彼女は何もしていない。まるで容疑に関係したかのような報道のあり方は問題ではないか。
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ここ最近の芸能ニュースは、芸能人を強く傷つける内容が多い。一視聴者として、見ていても辛くなるようなことがある。芸能人も一個人だ。特に家庭の問題、不倫などは視聴者には何の関係もない。しかしながら、最近はCMやドラマの降板や引退にまで追い込まれる傾向にある。イメージダウンを助長させているのは本人達ではなくマスコミだ。私は、歌手であるなら歌っている姿、俳優なら演じている姿が好きなのだ。不倫は良くないことだが、夫婦間の問題であり、罪を犯したわけではない。ワイドショーでは暗い話題はなるべく扱わないでほしい。芸能人は、テレビや舞台で視聴者やファンを楽しませるために活動しているのだから。
【番組全般・その他】
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大みそかの番組で、格闘家が熊と対決するコーナーがあった。強固で透明なパネルを挟んで押し合い、力比べをするというものだったが、パネルが外れ、格闘家が退避する顛末になった。問題と思われるのは安全性の軽視。現に装置が破壊されていた。動物愛護の精神への逆行も問題だ。格闘家の退避が間に合わない場合、おそらく熊は射殺されていただろう。熊を意図的に興奮させる手法も疑問だ。ローマ時代のコロッセオでもあるまいし、放送倫理を疑う内容だった。
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昼の番組で、音楽プロデューサーの不倫問題を取り上げていた。自身のこと、家族のことについて率直に語っていたが、「あそこまでプライバシーを人に披露するのは…」というコメンテーターの苦言に驚いた。言葉を濁すと批判し、説明責任を追及し、プライバシーを暴こうとするマスコミ側の人間が、彼の苦渋の吐露を批判する立場にあるのだろうか。勝手に私事を報道され会見を開いたのに、これではひど過ぎる。
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マナー講師を出演させ、お祝いのお返しに贈っていいもの・いけないもの、二者択一のクイズ形式の番組があった。「緑茶と紅茶のうち、お祝い返しに贈ってはいけない物はどっち?」の出題に対し、正解は「緑茶」。正解を示す演出として、画面に緑茶と紅茶の画像をあらかじめ表示し、緑茶の画の上に「贈ってはいけない」という文字をオーバーラップさせた。マナー講師が監修しているとの印象を視聴者に与えた状態で、「緑茶を贈ってはいけない」ことがマナーの正解との印象を視聴者に与え、さらに「お葬式を連想し縁起が悪い」ととどめを刺した。一方、緑茶は縁起が良いものとしてお祝い返しに贈る方もたくさんいる。実際に九州では結納茶という文化が残っている。この番組は、意見の分かれる風習やしきたりのようなものを比較し優劣を付け、一方を正解であるかのように表現し、他方を支持する人達を傷つけたことになる。さらには緑茶の商品価値を落としてしまっている。
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インドネシアのスマトラ島でクワガタとカブトムシを探すという企画のなかで、島で捕獲したというコーカサスオオカブトとオウゴンオニクワガタを映した。しかし、テレビに映ったその2種はジャワ島の固有種であり、スマトラ島にはいない。番組では「スマトラで捕獲した」としていたが、誤りではないか。私はカブトムシやクワガタを商っており、年に何度もインドネシアに出かけていて、これらの虫のことはよく知っている。小学生でも昆虫に詳しければ気付くことだ。また、ジャワ島で捕獲したはずのこれらの虫を、再び島に返したかどうかという点も気になる。生態系を守ることにも言及してほしかった。
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私は、アメリカに17年間居住して帰国したが、日本のお笑いの質の低さ、黒塗りの顔や女性への暴力を平気で流す意識の低さ、そしてモラルのなさに驚きと怒りを感じる。日本人は人権意識が低いと言いはやしているようなものだ。そもそも放送局には、自局の番組がモラルに抵触しないかのチェック機能があるはずだ。視聴率が取れるから、何でも流していいと思っている姿勢が垣間見える。いじめや暴力を受け、泣き顔になっている人を笑うという図式は、放送倫理に反しないのか。
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「関東地方で地震」との第一報があり、続いて報道フロアからの臨時ニュースが入った。そのなかでアナウンサーが「先ほどの情報に誤りがあった」と正したが、具体的にどう間違っていたのかの説明がない。そこで局に電話をして説明を求めたが、電話対応者は「誤りがあったとの文言はなかった」と言う。私が「どこにどう確認したのか」と尋ねると、はっきりと答えなかった。納得がいかないので「そんなことでは信用できない」と告げたところ、「どのように受け取られても構わない」と開き直るようなことを言われた。何のための報道であり、何のための視聴者対応なのか。どちらもその役割を果たしていない。
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関西地方の夕方の番組で、派遣労働者の2018年問題を取り上げていた。この法律の影響で雇い止めになった人の声や、派遣社員の制度の紹介や現状がわかりやすく紹介され、この問題に取り組む団体のホームページの紹介もあり、早速アクセスしアンケートに参加させてもらった。私も派遣で働いているため、他人ごとではないとの思いで見ていたが、現在の日本の企業がこのような働かせ方を平気でしていることに対して、日頃から怒りを感じており、よくぞ報道してくれたと思った。今後もこのような生活に密着した重要な話題を多く取り上げてほしい。
【ラジオ】
- 土曜昼の番組は、生放送を偽装しているようでがっかりした。オープニングは普段の生放送と変わらぬ喋り出しだったが、番組名物の世相や芸能に関するトークは無く、音楽をかけ、雑談で番組終了。ラジオはテレビに比べ、出演者がより身近に感じられ好きな媒体だが、この日は、生放送の雰囲気を出しつつも、メールなどの受け答えはしないという形で、リスナーを少しばかにしているような放送に見受けられた。昨今、食品偽装や工業製品のデータ改ざんが社会問題になっている。番組が生放送を装っていながら、実は録音というのは、表示に偽り有りと感じざるを得ない。ラジオ番組に求められているのは、イミテーションではなく、速報性、実直さ、身近感だと思う。近頃、暗い話題ばかりで、気晴らしにラジオをつけたらこの状態。余計にモヤモヤした。
【CM】
- 最近、仮想通貨のCMが増えているが、CMの最後に表示されている注意喚起の表示が、短すぎて全部読めない。
青少年に関する意見
【「低俗、モラルの反する」との意見】
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生放送のバラエティー番組で、裸芸の芸人が股間を隠す芸に失敗した。放送時間は、青少年の視聴も想定される時間であり、大変不適切である。リスクの高い裸芸を地上波で放送することに対する規制を望む。
【「暴力・殺人・残虐シーン」に関する意見】
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バラエティー番組で、女性タレントが格闘家から蹴りを入れられて痛がるのを、男性芸人が笑うというシーンがあった。お茶の間で子どもの目に触れてよいはずがない。いじめやリンチの助長となる可能性もある。
【「差別・偏見」に関する意見】
- バラエティー番組で、男性芸人が顔を黒塗りにして登場していたが、面白かったら人種差別的なことをしてよいのか。子どもたちに影響の大きい番組なので、放送内容に配慮してほしい。番組から悪影響を受けているようで心配だ。
【「編成」に関する意見】
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ゴールデンタイムのドラマを子どもたちと見ていたら、深夜の新番組のドラマの番組宣伝が放送され、ベッドシーンが出てきた。このような番組宣伝は、子どもたちの見る時間帯にふさわしくない。
【「視聴者意見への反論・同意」】
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ドッキリ番組について、「人の不幸を笑いものにするのは許せない」「どう考えてもいじめと思う」「子どもがまねをする」などの批判が寄せられているが、私はそうは思わない。このような番組は、単純にストレス解消のために見ている人がほとんどであり、直ちにいじめや非行の原因になるとは考えにくい。なんでもかんでもいじめ、非行の元凶と決めつける短絡的な考え方こそ問題である。