2017年8月に視聴者から寄せられた意見
終戦記念日前後に放送された戦争関連番組や、夏休み恒例のチャリティー番組への意見。民放各局のワイドショーなどで、女性議員や人気芸人の不倫を扱った番組への批判など。
2017年8月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は2,034件で、先月と比較して913件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール76%、電話22%、FAX1%、手紙ほか1%。
男女別は男性67%、女性32%、不明1%で、世代別では40歳代25%、30歳代23%、50歳代19%、20歳代17%、60歳以上12%、10歳代4%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。8月の通知数は1,902件【51局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、22件を会員社に送信した。
意見概要
番組全般にわたる意見
太平洋戦争から70年以上たつが、終戦記念日前後に放送された戦争関連番組への意見が多く寄せられた。また、夏休み恒例のチャリティー番組への意見や、民放各局のワイドショーなどで、女性議員や人気芸人の不倫を扱った番組への批判が多く寄せられた。
ラジオに関する意見は54件、CMについては48件あった。
青少年に関する意見
8月中に青少年委員会に寄せられた意見は203件で、前月から30件減少した。
今月は「表現・演出」が43件と最も多く、次に「いじめ・虐待」が37件、「性的表現」が15件、「報道・情報」が14件と続いた。
「表現・演出」では、バラエティー番組でタレントが人に水を投げつける演出について意見が寄せられた。「いじめ・虐待」では、スペシャル番組で遠泳に挑む小学生と指導する先生を追ったドキュメント企画について意見が寄せられた。「性的表現」では、高校生を主人公とした連続ドラマについて意見が寄せられた。
意見抜粋
番組全般
【取材・報道のあり方】
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北朝鮮がミサイルを発射し、全国瞬時警報システム「Jアラ-ト」が東北地方中心に作動した。テレビでは、「〇〇県には地下がない。4分では逃げられない」など、できないことばかりを取り上げ、まるで政府の責任のような放送ばかりしているが、そもそも北朝鮮が一方的にやっていることに、どうして日本の対応ばかり批判しているのか。逃げられないではなく、どう身を守るかを伝えるのがメディアの仕事ではないか。公開されている政府広報についても詳しく説明せず、一般人の「どうすればいいのかわからない」というインタビューばかり流し、自分達も一緒に「わからない、わからない」と言うだけなら、報道など必要ない。もしミサイルが着弾したとしても、真上から落ちない限り、破片から身を守ったり、体を隠したり、家の中の行動で助かる可能性はあるはずだ。そのためのJアラートのはずが、役に立たないものとして伝えるのは如何なものか。
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不倫疑惑で盗撮されたプライベート写真を、本人の了解なしにテレビで公開する基準はあるのか。犯罪と確定できない時点でも、公務員なら公務外でもOK、元アイドルならOKなのか。盗撮は犯罪ではないのか。誰でも見ることができるテレビでの発信と、ネットや雑誌とでは影響が違うと思う。
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騒音をめぐるご近所トラブルについて、各局が大きく報道している。一般にこの種のトラブルは、双方の言葉の行き違いや、感情のもつれが原因になることが多い。当事者双方に事情を聞かなければ真実に近づけない。しかし多くのマスコミは、周囲に住む人達の主張を流し、一方的な立場から報じているようにも感じる。問題の発端は、風鈴の音色に対する苦情だという。通常、風鈴の音色は風情のあるもので、これに苦情を言うのはどういう状況だったのか、どの程度の音色だったのか、どういう言い方をしたのか、一方で、苦情を受けた側は、嫌がらせをされたと誤解したのではないのか。双方の事情を包括的に報じるべきだ。単なる興味本位の「変わった人の変わった行動」という報道では何の解決にもならない。
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「元女子マラソン日本代表選手を、化粧品などの万引容疑で逮捕」のニュースを各局で伝えていたが、これは、大々的に全国に顔と名前を出して報道するべきものなのか。万引きは犯罪で悪いことだが、大金を横領したわけでもなく、人を傷つけたわけでもない。もっと報道すべきニュースはたくさんあるだろう。テレビ局の社員が、女性に違法薬物をかけて、自身も薬物を使用していたニュースでは、顔や名前は出さない。どこが公平な報道か。
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コンビニ3店舗で同一犯による強盗・強盗未遂事件があった。実害があったのは1件目だけで、3件目の私の経営する店では実害は無かった。朝になって、在阪の民放各局が私の店舗に取材に来た。その際、「従業員が映されるのを嫌がっている」と抗議したが、カメラを回し続けられた。経営者の立場としては、「強盗に狙われる店」というイメージが先行し、新たな従業員獲得が難しくなることに頭を抱えている。「映されたくない」とこちらが言っているにも関わらず、それを無視されたことに強い憤りを覚える。
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7月の視聴者意見にあった「重要なニュースそっちのけで芸能関係の話題ばかり報じている、朝の番組は硬派なものだけで十分」という主張に私も同感である。こういう芸能ニュースの大半は、一般の視聴者にはどうでもいい話であり、重要なニュースを後回しにしてまで放送する必要はない。「硬派な番組ばかりでは、若い人が見てくれない」という話もあるようだが、テレビ局側の都合のいい言い訳でしかない。ニュースサイトや新聞は、必要な記事を選んで読むことができるが、テレビではその選択ができない。芸能ニュースを優先して放送する姿勢こそが、若者のテレビ離れを助長する結果につながっているのではないだろうか。
【番組全般・その他】
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朝の番組で、沖縄県の離島、竹富島の小さな診療所が、大量に訪れる観光客の診療に困惑しているという話題を取り上げていた。軽症で緊急性がないにも関わらず、小さなケガで診療所を訪れる観光客。しかし島に医師は1人だけ。島民が受診できない状況が続いているという。こういう問題は、実際に島の声を聞かないとわからないが、取材班は現地に行き、医療関係者、診療所を訪れた観光客、困惑する島民、入島制限も考えるという島の声など、多角的に丹念に取材していた。ネット情報をまとめたような企画が多い中、こうしてきちんと取材することが大切だ。小さな島の診療所の問題だが、自分勝手な患者が増えている都会でも共通する課題だ。これからもこうした良質の取材をした番組が増えてくことを願う。
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昼の番組で、今まで散々芸能人や政治家などの不倫を激しく批判し、人格まで否定していた司会者やコメンテーターが、ある芸人の不倫は擁護するようなことを言いだしていた。不倫が悪いのではなく、その人物が好きか嫌いかで判断しているようにしか見えない。前回「女性議員がホテルに一緒に入ればアウト」と言っていたのに、芸人が何度もホテルに一緒に入っても「証拠がない」などと、真逆のことを言うのを聞いて本当に呆れた。これは、女性の不倫は許せないが、男性で芸人だったら良いというようにもとれる。公平なコメントができないのであれば、扱うべき問題ではない。
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朝のニュースのお天気コーナーで、気象予報士が、チャリティー番組の長距離マラソンを完走した芸人を意識したように天気を伝えていた。面白おかしくやってくれる分には構わないのだが、なぜ今日やったのか。昨年、死者行方不明者も出した台風10号から今日で丸1年。各地で慰霊式典も行われているような日だ。おまけに現在、台風15号も発生し、進路によっては日本を直撃するかもしれない状況。それに9月1日は防災の日。今週はおチャラけているような場合ではないはずだ。気象予報士なら、せめて自然災害に対してだけは意識を高く持ってほしいものだ。本当にモノマネをやる必要があったのか意味がわからない。
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報道番組で、カメラが富士河口湖町にある焼き肉店の中に入って行った。店長はインタビューに、「上タン、上カルビ、上ロース、あとはハラミ、ビールは1、2杯飲んだかな」と答えていた。記者から「支払いはどうしたのか?」と聞かれると、「支払いは総理の個人のカード、○○カードでゴールドですね」、そう話す店長。たとえ店長が詳しく語ったとしても、放送して良いものと悪いものについては区別がつくはずだ。
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終戦直後の樺太に関する番組を見た。ソ連との戦闘が始まった経緯がうやむやに説明され、よくわからなかった。本当に本人が言ったかどうかわからない証言、民間人の視点だけで進められ、違和感を持った。およそ40万人の樺太の人々は、どのように生き残ったのかの説明がない。これだけ生き残るには、軍の協力が考えられるはずであるのに、その点には触れない。ソ連側の責任についても何ら追及しなかった。どうして起きたのかを明らかにすると言いつつ、中身は不明確な資料や視点の限られた証言ばかりで、何も真相が分からない感傷的で偏った番組になってしまっていた。
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731部隊の番組は、ハバロフスク裁判の証人をもとに制作しているが、事実に反している。同裁判は、1949年に行われたソ連の主張を宣伝するためのプロパガンダ裁判である。つまり、戦後すぐではなく、戦後4年間、ソ連の言うことを聞かなければ命の保証さえされない、人権無視状態の人々が洗脳を受けた上で、ソ連から強要された自白をもとに作られたものである。命の危険にさらされ、洗脳された日本の抑留者の証言は、ほぼソ連の主張そのものであることは様々な事例で明らかになっている。番組はその事実を詳しく述べるべきである。731部隊については、米国国立公文書館が公開した、米情報機関の対日機密文書で「結局、戦争犯罪と言えることは全く存在しなかった」ことについて、何ら言及しないのも、事実を隠蔽するものだ。極めて意図を持って制作された偏向番組である。
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731部隊の番組を見た。非常に綿密に資料を集め、肉声で、当時実験に関わった医学者などの証言を紹介している点に非常に感心した。事件の経緯や資料の乏しさから「捏造ではないか」といった一部の層の意見を見事に覆す資料を提示し、部隊の残虐さ、非人道的行為を改めて見直す貴重な番組だった。これからもこういった誤った風潮や思想、歴史修正から世論を喚起し、戦争の悲惨さ、惨たらしさを次世代に伝える番組を制作してもらえるよう、心から願う。
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あさま山荘事件や金大中事件など、昭和の大事件を特集した番組を見た。どの時代においても、国家や国民の安全が脅かされる事件や事故は起きてしまう。しかし、こういった出来事は時代が進むにつれて風化し、知らない若者達も増えてくる。何らかの形で伝え続けていくことが大切だ。それにより今の私達が学ぶべきことも出てくる。このような番組はこれからも放送してもらいたい。
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私は、発達支援センターで就学前の障害児の子ども達の支援をしている。長時間のチャリティー番組を見ても感動しない。障害者の方々が頑張っている姿を見て「自分も頑張らなきゃ」「自分は幸せなんだ」と思わせる番組そのものが、社会に悪影響を与えているのではないかと思ってしまう。自分より不幸な人を見せて感動させることがとても多いと感じる。障害者が頑張っているところを見て何が面白いのか。頑張っているのは健常者も障害者も同じだ。障害者は特別ではなく、普通に生きているだけなのではないか。街中や電車の中で障害者を見ると「怖い、変な人」と思ってしまう人が多いと思う。それは障害を理解している人が少なく、外見や自分の想像だけで判断しているからだと思う。そんな人たちを少しでもなくしたい。誰もが見るテレビでそのようなことを伝えていってほしい。チャリティー番組以外で障害者が出演できる番組、感動より笑いを与えてくれる、そんな暖かい番組が増えればいいなと思う。障害者の方々が生きやすい社会を作りたいと思う。
【ラジオ】
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地方局のFMを聞いている。在京局の番組を模倣した番組だ。基になった番組との関連性もなく、特に尊敬の意も感じられない。そのまま模倣というのは、ラジオ業界やリスナーへの冒涜ではないだろうか。高校生をターゲットに絞り、番組でよく呼びかけているが、年齢対象外のリスナーにとっては違和感というか疎外感が残る。実際、中学生が「中学生でもいいですか」などと気を使ったメールを送ったりしていて、不憫。また、平日昼の時間帯も、こだわりの感じられないJ-POPばかりがかかるようになってしまった。元々、落ち着いた選曲や雰囲気を得意とし、深い音楽知識を知ることができるFM局だったが、ここ1、2年で雰囲気の変化が加速してしまった。先人の積み上げてきたものが崩れつつあるように思う。開局時から聞いていて、音楽をより好きになるきっかけを与えてくれた局なだけに、残念としかいいようがない。
【CM】
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自動車メーカーのCMで「ぶつからない車」などと安全性の高さをアピールしているが、障害物や駐車車両に向かって、車をフルアクセルで急発進させるなどのパフォーマンスまでする必要性があるのか疑問である。演出とはいえ、このような手法は「安全装置付きの乗用車=絶対に事故を起こさない」と誤解されかねず、無謀運転を助長することにもなりかねない。
青少年に関する意見
【「表現・演出」に関する意見】
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バラエティー番組でタレントが「水ビンタ」を行っている。子どもがまねをしたら失明する可能性がある。危険だ。
【「いじめ・虐待」に関する意見】
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スペシャル番組で、遠泳に挑戦する小学生が指導者に厳しい言葉を浴びせられたり、体罰ともとらえられる指導を受けていた。このような子どもに恐怖を植え付けるような危険な指導が当然のごとく行われていることにぞっとした。放送局は、これを美談に仕上げている。
【「性的表現」に関する意見】
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高校生が主人公の連続ドラマなので、高校生も見ているが、性行為、性風俗店、暴力行為などのシーンが多く出てくる。このような番組を公共の電波で、子どもが見る時間帯に放送することに憤りを覚える。
【「人権」に関する意見】
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スペシャル番組で、育ての母親が幼い子どもに自分は本当の母親ではないと顔出しで告白していた。将来がある子どもの立場を考えて制作してほしかった。制作サイドは子どもの人権について理解していないのでしょうか。
【「低俗、モラルに反する」との意見】
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バラエティー番組でお笑い芸人が将棋を指すシーンで、女性のスカートをめくっていた。子どもが見ている時間帯の番組であり、モラルに反する。度が過ぎていて教育上よくない。