視聴者からのご意見

2023年11月に視聴者から寄せられた意見

2023年11月に視聴者から寄せられた意見

性加害問題をめぐる各局の検証番組や所属タレント起用の是非などへの意見、「フェイク画像」という紹介が誤っていたことなどへの意見が寄せられました。

2023年11月にBPOに寄せられた意見数はほぼ平常ペースの2,502件で先月からほぼ半減、 2,648 件減少しました。
意見のアクセス方法の割合は、メール 90.2% 電話 8.7% 郵便・FAX計 1.1%
男女別(任意回答)は、男性25% 女性24 % で、世代別では 30歳代 24% 40歳代 22% 
50歳代 20% 20歳代 18% 60歳代 8% 70歳以上 3% 10歳代 3%

視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、11月の送付件数は697件、56事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から15件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

芸能事務所創業者の性加害問題をめぐる各局の検証番組、当該事務所の所属タレント起用の是非などについて意見が寄せられました。また、イスラエルが主張の根拠としている画像を番組が「フェイク」と説明したことなどへの意見もありました。
ラジオに関する意見は25件、CMについては18件でした。

青少年に関する意見

11月中に青少年委員会に寄せられた意見は102件で、前月から86件減少しました。
今月は「要望・提言」が54件と最も多く、次いで「表現・演出」が21件、「編成」が7件と続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • 「生成AIによるフェイク」の危険性を考える企画で、イスラエル側が主張の根拠としている画像を「フェイク」と説明していたが、実際は本物の写真だった。ネット上の情報に惑わされる人が多い中で、テレビまでこういうことをすると収拾がつかなくなる。

  • 死体遺棄事件の容疑者として無関係の人の顔写真を何度も放送した。テレビで放送してしまった以上、ネット上の画像を完全に消し去ることはできない。まったくの濡れ衣(ぬれぎぬ)で人生が変わる可能性があることを考えると市民として恐ろしい。

【教養・バラエティー】

  • 昆布だし500mlを2週間飲み続ける味覚改善法や「昆布・ワカメを毎日たくさん食べている」というタレントのコメントを紹介していたが、昆布は食べ過ぎによる甲状腺機能低下などのデメリットも知られている。番組で注意を呼びかけるべきだったと思う。

  • 「豆腐を食べ続けるとやせるのか太るのか」、タレントに実際に食べさせて「検証」というが、わずか3日間で検証などできるはずがない。また3,000kcalすべてを豆腐で取るためにタレントが無理して大量に食べていて心配になった。

  • タレントがチェーンソーでの立木伐採を体験するシーン。指導者が立ち会っていたが、かかり木の元玉切りなど厚生労働省が注意を呼びかけている危険な行為があった。切断された瞬間は編集でカットされていたが現場ではヒヤっとしたのではないか。出演者を危険にさらしただけでなく、視聴者にも死傷する可能性のある危険な方法を拡散していた。

  • クイズで負けたら40メートル上に飛ばされる罰ゲーム。もし金具がはずれたら、と考えると怖い。落とし穴に落ちたタレントがケガをしたこともある。危険な罰ゲームはやめてほしい。

  • 性加害問題のあった事務所所属のタレントが年末恒例の音楽番組に1組も選ばれなかった。「出演者の人権を尊重する」とのことだが、所属タレントたちが人権侵害をしているわけではなく、理不尽だと感じる。

  • 問題の深刻さと照らし合わせれば、当該事務所所属のタレントを選ばなかったのは当然のことだと思う。

  • 人気アイドルが街中で市民を撮った写真に短いタイトルをつけて楽しむコーナー。大変面白く、撮影者の感性にひかれる場面が多かったが、昨今、SNSで肖像権を無視して人を笑い者にするような風潮もあり、ストリートスナップについての注意喚起をしたほうがいいと感じた。

  • 家庭のシンクに取り付けるディスポーザー(生ごみ粉砕処理機)を紹介していたが、水道局に照会したところ、設置に法的な規制はないものの、集合住宅の場合は敷地内に下水処理設備がないと下水道に負荷がかかり、耐久性を損なうなどの問題があるとのこと。こうした点も明確に示すべきだったと思う。

  • 過積載が疑われる解体業者のトラックを芸人たちが追跡するという企画だった。面白くするためか出演者たちはトラック置き場を「アジト」呼ばわり。過積載か否かの判定は「見た目」。確定もできないのに「逃げた」「まかれた」。VTRを見たスタジオでも「悪いことしているという意識はありますよね」など犯罪者扱い。本当に犯罪なのか確認した上で放送してほしい。

  • 緊張するとトイレに行きたくなるのはなぜか、あるタレントを被験者にして検証。偽の番組収録に呼び出し、被験者が「恐れている」という先輩が対談相手であることを告知。到着した先輩が「いつにもまして不機嫌」という演技…。楽屋で被験者が動揺していく様子はとても気の毒だった。

  • ショッピング番組で価格を示した後に「それを半額で」などと大幅に値引きしたように表示しているが、最初から実際の販売価格を示すべきではないのか。

  • 若いころ保育の仕事がきっかけで部落差別問題を知り、気に留めてきた。このドキュメンタリー番組はできるだけ多くの人に見てもらいたいと思う内容だった。

【その他】

  • 子どもへの性加害がなぜ数十年にもわたって放置され続けたのか、各局の検証番組は到底その構造的な問題を明らかにできるものではなかった。このままでは新たな人権侵害や虐待が起こったときに、各局が適切に報道できないのではないかと懸念する。視聴率や利益のために人権侵害を見て見ぬふりをする報道機関では意味がない。第三者機関による網羅的な調査によって二度と被害者が生まれないようにしてほしい。

  • 各局の検証番組は「男性への性加害について認識が薄かった」というが、何百人もの児童が芸能事務所やテレビ局の金儲けのために性加害を受ける環境に置かれてきたという重大性が正しく認識されているのか疑問だ。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • 芸能事務所創業者による性加害問題をめぐるテレビ各局の検証番組は、男性同士の性加害を軽くみてしまったというだけで、問題の本質をまったく検証しない不十分なものだった。この問題の本質に迫るためには、テレビ局自身に任せて調査することには限界があると実感した。

  • 性加害の被害者はトラウマを抱えながら命がけで告白している。影響力を持つ放送局は被害者に寄り添い、しかるべき対応を早めに取るべきだった。

【「表現・演出」に関する意見】

  • 紀行バラエティー番組の女性リポーターが取材先の外国で、番組スタッフと、楽器代わりのビーチサンダルで頭をはたき合う演出があった。子どもが真似して友だちの頭をたたく原因にもなるので、はたき合いで笑いを取ることはやめてほしい。

  • バラエティー番組で、芸能人をジップラインで滑らせて、池の上でロープを切るというドッキリ企画が放送されたが、とても笑えない。仕事とはいえ、一歩間違えれば重傷を負うかもしれない。なぜスタジオのMCたちが笑っているのか、子どもに説明できない。

【「編成」に関する意見】

  • サスペンスドラマの再放送を平日の日中に放送しているが、殺人などの凶悪シーンもある。夜の時間帯に放送すべき内容だ。子どもが見られる時間に放送するのはとんでもないことだ。

【「性的・表現」に関する意見】

  • 深夜のバラエティー番組で、番組MCの芸人らがひとりの若手芸人をつるし上げて、下着を脱ぐよう強要する演出があった。「早く脱げ!」と迫り、下着を下ろすと股間をのぞき込んで「脱毛しているのか!」と笑い転げた。子どもたちがいじめで真似するおそれがある。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 大麻グミ問題のニュース。報道の中で成分を含め「現在も購入可能」などと紹介していたが、その存在を知らなかった人も興味を持って、インターネット購入する可能性がある。中高生がとくに興味を持つだろう。報道の仕方を再考してほしい。