視聴者からのご意見

2023年5月に視聴者から寄せられた意見

2023年5月に視聴者から寄せられた意見

ワクチン接種後に死亡した人の家族に取材しながらそのことに一切触れない編集がなされたこと、芸能事務所創業者の性加害問題をめぐって当該事務所と放送局との関係、報道のあり方などについて意見が寄せられました。

2023年5月にBPOに寄せられた意見は 2,581件で、先月から 1,016 件増加しました。
意見のアクセス方法の割合は、メール 88% 電話 11% 郵便・FAX 計1%
男女別(任意回答)は、男性33% 女性23% で、世代別では 40歳代 25% 30歳代 24% 
50歳代 23% 60歳以上 13% 20歳代 11% 10歳代 1%

視聴者の意見や苦情のうち、特定の番組や放送事業者に対するものは各事業者に送付、5月の送付件数は1,541件、55事業者でした。
また、それ以外の放送全般への意見の中から12件を選び、その抜粋をNHKと日本民間放送連盟の全ての会員社に送りました。

意見概要

番組全般にわたる意見

ワクチン接種後に死亡した人の家族に取材しながらそのことに一切触れない編集がなされたこと、総理大臣がバラエティー番組に「講師」として出演したことなどに意見が寄せられました。また芸能事務所創業者の性加害問題をめぐって、当該事務所と放送事業者との関係を疑問視する意見、その報道のあり方についての意見などが寄せられました。ラジオに関する意見は33件、CMについては4件でした。

青少年に関する意見

5月中に青少年委員会に寄せられた意見は76件で、前月から60件減少しました。
今月は「要望・提言」が23件、「表現・演出」が20件、「報道・情報」が10件、それに「いじめ・虐待」と「言葉」がそれぞれ4件ずつと続きました。

意見抜粋

番組全般

【報道・情報】

  • 新型コロナワクチン接種直後に死亡した人の遺族に取材しておきながら、そのことには一切触れず、まるでコロナ感染症で死亡したかのようにインタビューが切り取られていてとても怖いと感じた。
  • これが許されるなら放送局は事実を都合良く「編集」していくらでも嘘を放送できてしまうことになり、信用できなくなる。
  • 謝罪はあったが、なぜこのような編集をしたのか説明がなかった。他にもこのようなことが行われているのかと疑ってしまう。

  • 芸能事務所創業者の性加害問題について、同事務所に所属する情報番組の司会者が「最年長の私が最初に口を開くべきだと思い、後輩たちに(発言を)極力待ってもらった」。当事者である事務所や事務所所属の出演者の意向で当該局や他局の報道内容が左右されるのはおかしい。
  • 土日、朝から夜までこの芸能事務所のタレントに頼り切った番組がずらりと並んでいる局があり、その局は性加害問題を正面から伝えていない。報道する側としての矜持はどこに消えたのか。

  • 強盗殺人事件の防犯カメラ映像で、殺害された瞬間のものと思われる被害者の悲鳴が字幕付きで放送された。あまりにもショッキングな音声で怖い。事件の残酷さを伝えるにしても過剰なように感じる。

  • 風俗店で従業員女性が刺殺された事件で、被害女性の名前と年齢が報じられていた。実名報道により、顔写真と本名と風俗店で働いていたという事実がネットで拡散されている。遺族の苦痛は計り知れない。

  • 生成AIを使って自分の作品を盗用され、著作権を侵害されたと訴える画像クリエーターを取材していたが、「偽物の方が好き」という街頭インタビューが並び、コメンテーターは「コピーされる前提で作るしかない」などと発言。世界中でAIによる著作権侵害が問題視され議論されている中でこのような内容を報道番組で流すことに疑問を感じる。

【バラエティー・教養】

  • 密着取材した男性の作業の要領の悪さや言動に他の出演者が大笑いしていた。私は発達障害の当事者と関わる立場にあり、こうした放送は同じようなことに生きづらさを感じている人を傷つけるのではないかと思う。見ていてとても心が痛かった。

  • タレントに簡単な割り算をさせ、できないことを笑いにしていた。「おバカタレント」というカテゴライズ自体が好ましくない。

  • 認知症を発症してテレビ出演から遠ざかっている漫画家と、彼と親交の深い番組MCが触れ合うシリーズ企画。2人で絵を描いた今回は、漫画家の脳の活性化にも役立ったようで、かつてのタッチが戻ってきていた。いい企画だと感じた。

  • 韓国取材。陳列された大皿から店員がカップに取り分けて販売する形態の惣菜店で、タレントが自分の使っている爪楊枝で大皿からじかにつまみ食い。両腕で大きな×印を作って制止する店員に対して、笑いながら番組名を繰り返していた。ネットの迷惑行為動画とかわらないものをテレビで堂々と流すことが信じられないし、日本人として恥ずかしい。

  • 博物館が収蔵している古いゲームカセットの元の持ち主を探そうと生放送で呼びかけた企画。「自分のものではないか」と電話をかけてきた視聴者に、カセットに書かれている名前や発売年などと照らし合わせるためにフルネームと生年月日を言わせていた。個人情報の取り扱いとして大丈夫なのだろうか。

  • 旅客機の元パイロットが飛行中に「迫りくる巨大な謎物体」を目撃したというエピソードを扱っていたが、日時などからこれはソ連の偵察衛星コスモスの墜落だ。あたかもUFOであるかのような表現は不適切。

  • 首相が「広島サミットへの思い」などのテーマでバラエティー番組に出演。「きっといい人であろう」といった好印象を、政治的実績とは関係なく視聴者に与える可能性があり、放送法が目的とする「健全な民主主義の発達」に逆行する。

  • 大喜利の「お題」が「『おでんツンツン』『醤油ペロペロ』の彼らをも忘れさせるほどの悪行」。彼らの行為は犯罪だ。それをお題にすることで「笑ってもらえることなんだ、悪いことではないんだ」と思う人が出てくるのではないのか。

  • 逃げたペットを捜す話題で、鳥の場合の情報募集ポスターを例示し、出演者が(個体の識別が難しく発見は)「無理じゃん」などと話してスタッフとともに笑う場面があった。飼い主が必死に捜すことは笑われることなのか。非常に不快だ。

【ドラマ・アニメ】

  • アニメで、恋愛リアリティーショーに出演した女性キャラクターが誹謗中傷を受けて自殺を図るというエピソードがあった。実際にあった出来事を想起させるもので、その出来事で自殺した女性の遺族がネット上で不快感を示したところ、一部の番組ファンから激しい誹謗中傷を受けている。制作会社や放送局は一個人が攻撃される要因を作ってしまっているのだから、何らかのアナウンスを行う必要があるのではないだろうか。

【その他】

  • マイナンバーカード関連の特典の申込期間が9月末までに延長されたが、番組が「明日まで」と古い情報を伝えていたので、混乱を招くと思い、当該局に電話で知らせた。視聴者対応窓口の開始前だったので代表電話に「番組に伝えてほしい」と要請したところ、対応者は「ここからは現場に伝えることはできない」と頑として譲らなかった。結局、番組の最後で正しい情報を伝えていたが、何と融通の利かない対応なのかと呆れてしまった。

青少年に関する意見

【「要望・提言」】

  • 芸能事務所創業者による未成年の所属タレントに対する性加害問題をテレビ業界は直視し、伝えるべきだ。

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組のリポーターが、エジプトのピラミッドのシーンで騒ぎ立てていた。お墓であり、神聖な場所であることを軽んじて騒ぎ立てる演出はいけないと思う。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 報道番組で中学校教師が殺人容疑で逮捕された事件の続報として、殺害されたときの被害者とみられるうめき声が放送された。あまりにむごい。大人のわたしでも胸が痛くなり、体調が悪くなった。子どもたちが聞いたらと思うと、放送を控えるべきだった。

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • バラエティー番組で「運動神経悪い芸人」というコーナーがあり、苦手な芸人に実際にスポーツをやらせてうまくできないのを笑いにする。学校の体育の時間に運動がうまくできない子どもを嘲笑したり、いじめたりすることにつながるのではないだろうか。

【「言葉」に関する意見】

  • 子ども向け特撮ドラマで「うんこ」という言葉を意味もなく連呼していて非常に不快だ。このほか、登場人物のせりふが汚くて、子どもを持つ親の立場としてたいへん困惑する。