放送倫理・番組向上機構[BPO]


  ■放送
   番組委員会■

放送番組委員会は
2007年5月11日をもって
解散し、新たに
放送倫理検証委員会
設立しました。

 

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■ 番組委員会議事のあらまし

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● 2005年10月28日(2005年度第7回)福岡地方委員会

 10月28日に福岡市で開催した今年度第7回番組委員会は、“よりよい地域放送のあり方”をめぐり、有識者委員と福岡県の放送事業者が意見交換しました。委員会には9放送局の経営首脳と番組制作責任者らおよそ60人が出席。会議は3部構成とし、第1部で木村尚三郎委員長が講演したあと、第2部では各社の番組制作責任者と、第3部では経営首脳と委員とが活発な意見交換をおこないました。

概要は「放送番組委員会記録」11月号に掲載しています。

■番組委員会の審議

○第一部 講演

第1部で木村委員長は「21世紀九州新時代の放送〜生きる知恵と楽しさ〜」と題して講演しました。

 要旨は以下の通りです。

 「19世紀はヨーロッパの、20世紀はアメリカのものの考え方が世界を支配したが、21世紀はアジアないしユーラシアの時代。形式を重視するアジアあるいはユーラシア的なものの考え方と、実質でゆく島国日本とのものの考え方には大きな食い違いがあり、これが様々なトラブルを今引き起こしている。こういう違う生き方、ものの考え方をつかまえていかないと、友好関係はうまくいかない。お互いの文化、ないし生活習慣の違いを是非日常番組の中で紹介、報道して欲しい。九州という地域から、アジアないしユーラシアとの共存を考えることが、九州・沖縄の放送局の方々に課せられた大きな使命であり、日本中が期待している。
  また、20世紀は車に代表される技術文明の時代だったが、21世紀は、自分の足で歩く時代だ。世界の活発な交流の中で都市の魅力をいかに高めるかが極めて大きな問題だ。
 そこで大事なのは、目、耳、鼻、口、足にとっての美しさ、快適さ、安心、安全。つまり女性にとっての美しさ、お年寄りにとっての安心、外国人にとっての分かり易さ。こういう新しい価値観が、アジアないしユーラシアとの共存の場合でも基本的に大事になるのではないか。どの局も自主番組を作るのは非常に大きな困難を伴うと伺っているが、九州ないし沖縄には日本の将来がかかっていますので、何卒ご努力いただくようお願いします」

○第2部「番組制作責任者との意見交換」

 第2部では、各局から提出していただいた「自社の特徴及び自社制作番組のダイジェスト」をまとめたビデオとFM局からのカセットテ−プを視聴したあと、意見交換をおこないました。

 各社からは、「ブロック・全国ネットで積極的発信」「高い自社制作率を維持」「地域密着こそが最大のテ−マ」「いつもリスナ−の“ソバイル”(そばにいる+モバイル)がモット−」「経済的視点から地域を捉えるニュ−ス番組作りを」「国際感覚に溢れて10カ国語放送」「公共放送として地域の課題や出来事に正面から向き合う」など局の制作姿勢が示されました。

 委員との意見交換では「福岡発全国発信への戦略」について「深夜帯をはじめとしていろいろ発掘する努力をしており、いいものに出会えば全国へ発信したい」「ローカルの場合は、なかなか中央からメジャーな方をレギュラーで連れて来るのが難しい」「もう東京の芸人を使う時代ではないと思う」「地域特性にこだわった自然ものの番組は全国だけでなく外国にも販売できた」などのやりとりがありました。

 委員からは「ローカル局はもっと“違いにこだわるべき”ではないか」「エフエム放送のメインはやっぱり音楽なのか」などの指摘もありました。一方各局からは 「ブロックで地域特性を武器にしたコンテンツを持ち合おうと努力している」「災害報道に“十分”はないことを認識した」「外国語放送ならではの災害報道のあり方」といった体験談も示唆に富むものでした。

第3部 経営首脳との意見交換

 第3部で、各局首脳からは、「ニュースネットワークではないローカル局同士のネットワーク作りを夢見たい」「強力な制作集団を作っていくことが地上波の一番の武器だ」「生き残りのキーワードは独自性と地域密着」「災害情報を外国人居住者・旅行者に」「“知恵と工夫”で地域放送番組の充実強化を」などの抱負が語られました。

 委員との意見交換では「IT産業と地方局の関係」について、「ローカルが最強の軍団にならねばならない。“自分の城は自分で築く”という九州ネット、ないしはローカル番組全国ネットの砦を作り上げていく気構えが絶対に必要だ。そうすれば、こちらのペースで通信との提携は可能だろう。通信は決して敵でもない。ある意味ではチャンスだ」という熱い考えが示されました。

 制作者の育成問題については「強力な制作集団を作る為に核になる人間を中心に専門性を高めたプロ集団にしていきたい」「少ない社員数ゆえに子会社・関連会社のグループ力強化をめざしている」。 また、難しい時代における経営面の育成については「新たな競争相手が出てきているので、きめ細かい営業力が問われており、営業力の強化は、ソフト制作能力より各局が現実的な問題として直面している」という悩みが出されました。

 更に委員から、「メディア規制の動きなどに対して、取材現場は敏感になって欲しい」との要望もだされました。

 最後に木村委員長が「これからの放送事業には“冷たい頭と熱い心”が必要ではないか。金勘定の分かる冷静な心と、“これはやらなければいかん”という熱い心です。九州は他から見ると非常に明るい感じがするので、是非、この明るさを表現してもらいたい。よそから見ると“やっぱり九州は違うな”と思わせるものが、ぜひ欲しい。それだけのいい条件を九州は持っていると確信している」と述べ会議をしめくくりました。

以上