BPO_20周年記念誌
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090とりわけ、日本民間放送連盟が1999年6月に発表した「『青少年と放送』問題への対応」に「メディア・リテラシーの向上」が掲げられ、その具体的な施策が各局で模索されるようになったことが大きな契機だったようです。いわゆるCSR(企業の社会的責任)の観点も相まって、青少年が主役のフォーラム、モニター制度、番組審議会などの試みが少しずつ広がっていきました。NHKと民放連が、BPOの前身のひとつである放送番組向上協議会に青少年委員会を設置したのも、2000年のことでした。私たちが2019〜21年度におこなった「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みに対する調査研究」 (1)によれば、2021年度の時点で、「青少年によるモニター制度」に取り組んだことがあるという回答は、208件中16件(7・7%)でした。運用にかかる労力が必要になるため、割合が大きいとはいえませんが、各地の放送局での実績を確認することができました。アンケートによって詳細を把握できた取り組みは5件にとどまったため、全体的傾向を分析することはできませんでしたが、ひとことで青少年モニター制度といっても、ふたつの異なる目的と方法に大別できることが分かりました。ひとつは自主制作番組の質の向上を目的として、番組に対する意見や感想を青少年モニターから送ってもらうもので、通常のモニターとは異なる観点からの評価を得ることが期待できます。たとえば、ある局では「子どもたちの自由で素直な感想や意見が、今後の番組作りの参考になった」といった手応えがあったそうです。もうひとつはスタジオ見学などを含む取り組みで、局員と青少年との交流に重点を置いたものです。「直接触れ合うことでより当社のファンになってもらえることが実感できた」という局があった反面、放送に

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