BPO_20周年記念誌
95/280

087BPOの20年 そして放送のこれから放送人権委員会放送人権委員会の目的は「放送による人権侵害の被害を救済する」ことです。さらに①委員会は申立てを受けて審理し、②「人権侵害、放送倫理上の問題があったかどうか」を判断し、その結果を「委員会決定」として申立人と放送局に通知し、公表する――ことがウェブサイトに明記されています。放送人権委員会の特徴は3つの委員会の中で唯一「申立て制」を採っていることです。「放送によって人権侵害を受けた」との申立てを受けることが、委員会で審理するための大前提となります。申立人の側からみると「申立書」を委員会に提出することが必要です。「申立て」の記入用紙はウェブサイトに掲載されており、「番組の放送日時」「どのような権利侵害があったか」「放送局に求めること」などを記入し、郵送・FAXで送付いただきます。このように書くと「申立書」が委員会に提出されたら、すぐ審理に入るような印象を与えるかもしれませんが、そうではありません。これらに加え、▽1年以内に放送され、放送日から3カ月以内に放送局へ苦情を伝えている、▽放送局と裁判で争っていない、金銭的な賠償を求めるものではない――ことなどが要件となります。このあたりはウェブサイトの 放送による人権侵害の申立てというバナーをクリックすると、順を追って確認できます。さらに▽権利侵害の程度が軽微であったり、実質的な被害の回復がなされている、▽公選職にある人で、放送内容が明らかに受忍限度の範囲内である、▽話し合いを拒絶するなど放送局の自主的な解決を困難にしている――場合は、審理の対象としないことができる旨が運営規則で定められています。救済の必要がある事案を見極めて、迅速・的確に委員会が対応するために、こういったルールがあると思います。また委員会は、審理に入るかどうかを決める前に申立人と放送局との話し合いをあらためて促しています。これも委員会は放送局による自主・自律的な解決が最も望ましいと考えているからです。(調査役 遠山 昭弘)あらためて〝申立て制〟を考える

元のページ  ../index.html#95

このブックを見る