BPO_20周年記念誌
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085BPOの20年 そして放送のこれから放送そしてBPO 14のメッセージ結果である。よく時代の閉塞感ということが言われる。それって結局我が国では経済成長がもう見込めないからで、つまりはお金がないから、なんですよね。で、その、誰もがお金がないないお金がないから何もできないと騒いでいる時代に、お金がないゆえに何でもできるラジオ! 大おお袈げ裟さでなく、これぞ、今ここにある革命なんじゃないかと確信する今日この頃である。あと最後に一言。 改めて考えてみると、私はラジオを、ただ知らない音楽の世界を見せてくれる楽しい装置として傍らに置いているわけじゃない。これはNHK−FMがマニアックすぎるせいもあると思うんだが、パーソナリティーの個性と知識が全力全開で番組に反映されるので、そこには間違いなくその人の「人生そのもの」が詰まっているんである。ある一つのことが好きでたまらない人間が、自分のその思いを情熱を持って人に分けてくれるってことは、聴いている側は、ただ音楽やトークを聴いているんじゃなくて、ある一人の人間の人生を賭けた価値観そのものを受け取っているわけで、今の時代にこれ以上信頼できる間違いのない「情報」はないと私は思うのだ。ちょっと前までは、客観的な事実というものが存在した。もちろん今も存在していないわけじゃない。マスコミのニュースは客観的な事実を伝えるのが仕事である。でも、その「客観って何」ってことそのものが揺らいでいる。一国の大統領がセクハラや暴力事件を

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