BPO_20周年記念誌
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084で、これも想像ですが、そんなラジオ界の中でもスポンサーすら気にしなくていいNHK−FMとなれば放送界の「番外地」みたいなもので、しかも公共放送だから日本文化・芸術の継承という建前もあるわけで、となれば「売れていない」マイナーな世界の第一人者が大集合。「誰も知らないけどすっごい世界」が大展開する結果になっているのではないでしょうか。 きっと「売れている世界」というのは案外狭いのだ。対して売れていない世界というのは無限に広くて深く、掘り出し甲斐のある面白い宝がザクザク埋まっている。それは、会社を辞めて、大企業の社員というメジャーな立場から、なんの保証も後ろ盾もない一介のフリーランスとなった私にはものすごく痛快な希望だった。マイナーであることを恐れることなんてない。そこにはむしろメジャーな世界以上の無限の可能性があるに違いないとラジオが私に教えてくれたのである。さらにその後、縁あって自分自身もラジオに出させていただく機会を頂くようになると、ますますラジオが好きになった。何たって安心してラクに素直に話ができるのです。だって話す相手は目の前の一人か二人となれば、喫茶店で友達と話をするように具体的な相手に向かって自分のことをシンプルに伝えれば良いのだ。なるほどだから、ラジオの情報は地味だけれど特別なのである。ラジオを聴いていると、まるで相手が私自身に話しかけているように感じるのは、話す側が具体的なひとりに向かってシンプルに正直に話しているからだ。で、それもやはりラジオが低予算で作られている手作りのメディアであるがゆえの

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