BPO_20周年記念誌
89/280

081BPOの20年 そして放送のこれから放送そしてBPO 14のメッセージラジオ、電灯、パソコン、スマホのみ。かくして「ラジオと新聞」というレトロなセットが私と世間との貴重な接点となったのである。ちなみに近頃ではテレビを持たずスマホやパソコンで動画を見る人も多いが、動画を見ると通信料が跳ね上がることに気づいた私はその選択は封印。さらに節約を考えれば新聞もやめるべきだったが、こちらは古巣への義理と考え購読を続けることに。寄るべなきフリーの身ですからね。義理くらいは大事にしようと思ったんです。ってことで、朝起きたらラジオを聴きつつ掃除洗濯、それから自転車で近所のカフェに行きモーニングを食べながら新聞を読み、夕方帰宅したらラジオをつけ簡単な料理で晩酌、あとはそのままラジオを友に縫い物、手紙書き、お灸……など。こう書くと暮らしそのものまで昭和初期そのものだ。正直、最初はやや退屈した。問題はラジオである。慣れ親しんだテレビに比べればどうしたって地味なのよ。現代人にはやはりこの暮らしは厳しかったか……と一瞬思ったが、程なくして、単にカッコつけて聴いていたオシャレなFM局が私の生活に合わなかっただけと判明。流行りの曲って限られているから、たまに聴くならいいけれど、長時間ずーっと聴いてると同じ曲ばかり繰り返し聴くことになって飽きてしまうのだ……と気づいたのは、「ダメもと」で聴いたNHK−FMにどハマりしたせいである。いやね、NHK−FMといえばクラシックというイメージですよね。当時そっち方面に興味ゼロだった私は「古臭い教養をひけらかしたい人の巣窟」という偏見しか持っておらず、聴かず嫌いでハナから敬遠していた。でもちゃんと聴いてみたら、それが思いのほかめちゃくちゃ面白かったんである!

元のページ  ../index.html#89

このブックを見る