BPO_20周年記念誌
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080知っておこうと熱心に情報収集をしてきた。自分なりに「時代についていこう」と頑張っていたわけです。そして今。当時と比べればまるで無人島で暮らしているかのよう。で、一体どうなったのかという話である。かつての自分の努力を思えば認めたくないことではある。ではあるんだが、正直……イヤこれで全然十分なんじゃ? と思ってしまう日々なのだ。それどころか、人生で初めて情報とうまいこと付き合えている気もする。むろんこれは私の主観で、ひとさまの目から見ればただの「情報弱者」であろう。でも無限の情報が決して人を幸せにするわけではないと誰もが気づき始めている今、私の個人的な体験は、これからの情報発信を考える上でほんのちょっとくらいはヒントになるかもしれない。ということで「よりよい放送のあり方」を考えるこのような機会に、東京の片隅で人知れず繰り広げられている我がラジオライフについてひっそりと書いてみたい。      まずは、そもそもなぜ私がこのような状況に陥ったのかを説明しなきゃいけませんね。決して意図したことではなく、全くの成り行きの結果である。50歳で会社を辞め、仕事のあてがなかったので家賃の安い家を探さねばならず、ようやく見つけた「収納ゼロのワンルーム」という江戸の貧乏長屋の如ごとき特殊物件が全ての始まりだった。持ち物の大半を処分する必要に迫られて、服や食器や本はもちろん家電品もテレビや冷蔵庫など大半を捨て、残した家電品は

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