BPO_20周年記念誌
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069BPOの20年 そして放送のこれから放送そしてBPO 14のメッセージます。シェアされなくても、アルゴリズムが拡散する。人よりも機械の時代です。「良いものを作れば届く」。2023年の民放連賞九州・沖縄地区の審査会や懇親会で、複数の審査員がそういう言葉を口にしていました。私は2019年から審査員を務めていますが、残念ながらそうは思いません。ネットがなく、皆がテレビを見ていた時代であれば、数少ないコンテンツの中で「良いもの」は自然と見つかりやすく、届きやすかったでしょう。しかし、ネットが発展し、YouTubeだけでも1分間で500時間の動画がアップされる現代において、「良いもの」をユーザーが勝手に見つけて拡散してくれる造り手にとって都合の良い環境は、もう何年も前に消え去りました。テレビのビジネスモデルは「破綻」 民主主義を維持するにはかくしてテレビ局もYouTubeでのコンテンツ発信に力をいれるようになったわけですが、根本的な問題があります。動画プラットフォームからの収益は、地上波の時代の莫大な広告収入に比べて小さく、大手メディアの高コスト体質と見合わないということです。4人で活動するRICEメディアはショート動画で黒字化できたとしても、テレビ局は減少傾向にあるテレビ広告の収入を補うことは難しいでしょう。米3大ネットワークと呼ばれる名門テレビ「ABC」の売却を検討しているウォルト・ディズニーのボブ・アイガーCEOは、テレビのビジネスモデルを「破綻している」と指摘しました。私はBuzzFeedを経て、プラットフォームであるGoogleで働き、2022年、日本ファクトチェックセンターの立ち上げに加わって編集長として、ネット上で拡散する誤情報・偽情報対策に取り組んでいま

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