BPO_20周年記念誌
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062けが海外メディアによる報道だった点はいかにも示唆的だ。ちなみに、FCCが設立され、FDが導入されたのは「ニューディール時代」だが、日本を戦後占領した連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)にも「リベラル」な理念を持つニューディーラーが多く存在し、政府から独立した「電波監理委員会」を設けていた。しかし、サンフランシスコ講和条約が発効されて日本が主権を回復した一九五二年、同委員会の権限は政府(当時の郵政省)に移管されている。本来、FCCのような独立機関の設置が望ましいのかもしれない。しかし、FCCが可能なのは、二大政党間の緊張関係があり、しかも両党間で政権交代が比較的頻繁に起きる米国だからという面もあろう。仮に日本で独立機関を作ったとしても、実質的には特定政党の影響力が増すだけかもしれない。だとすれば、独立した第三者の立場から放送番組の公正性や人権などをチェックするBPOの存在は、いわば日本流の「最適解」であり、その点に独自性と意義があるのだと思う。参考文献McCauley, Michael, et al. eds. (2002). Broadcasting and the Public Interest: Regulation and Responsibility, Routledge. Pickard, Victor (2014). America's Battle for Media Democracy: The Triumph of Corporate Libertarianism and the Future of Media Reform, Cambridge University Press.Shapiro, Martin (2011). Freedom of Speech: The Supreme Court and Judicial Review, CreateSpace Independent Publishing Platform.Simmons, Steven (2022). The Fairness Doctrine and the Media, University of California Press.

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