BPO_20周年記念誌
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054のメンバーを出演させないようテレビ局に圧力をかけた場合は独占禁止法に触れるおそれがある」と注意した。この注意によってかなり風通しがよくなったことは事実である。そうした公的機関の介入や法整備も必要かもしれないが、有力芸能事務所への忖度なく番組制作を行っていける環境を整備することは急務だろうし、このタイミングを逃せばまた元の状況に戻ってしまうのではないだろうか。たとえば、前記の「共同の責任」を局や代理店が自覚するよう促し、それに反する動きや芸能事務所からの圧力あれば速やかに公表するような仕組みを作るなど、BPOが中心となって業界から圧力や忖度を排除する仕組みに向けた努力が必要なのではないか。そうすることで、制作側が主導権をもった健全で自由な番組づくりが可能になるのではないかと思う。以上、SNS上の批判→拡散→炎上による制作現場の萎縮と旧ジャニーズ事務所問題を取り上げ、こうした問題にBPOに積極的にコミットしてもらいたいという願望を述べてきた。現状の体制ではいずれも不可能かもしれないが、「放送倫理を高め、放送番組の質を向上させ」、「放送による人権侵害の被害を救済」するために、BPOが問題対応型からもう一歩踏み出す可能性を探ってほしいと切に願っている。そうすることで、BPOは放送を守る最後の砦として、より力を発揮しうるのではないだろうか。

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