BPO_20周年記念誌
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052BPOにできないものかと思うのである。3.旧ジャニーズ事務所問題故ジャニー喜多川氏による性加害問題をメディアが黙殺してきたことが問題視され、NHK、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ東京、テレビ朝日の各社は自己検証番組を放送した。どの局も関係者の証言を並べることに終始したという印象ではあったものの、実際に忖そん度たくがあったという証言も登場した。それは旧ジャニーズ事務所(現SMILE−UP.)への直接的な忖度のみならず、編成や制作現場に迷惑がかからならないようにという局内の忖度でもあった。男性の性被害について認識が甘かった、芸能スキャンダルとして片付けてしまった、などという証言もあったが、強大な権力を持ってしまった芸能事務所への直接的・間接的な忖度によって重大な犯罪を見てみぬふりをすることになったという点に最大の問題があったのではないか。NHK報道局ディレクターやNHK放送文化研究所主任研究員(メディア研究部)を務め、現在はBPO放送倫理検証委員会委員でもある日本大学の米倉律教授は、ジャニーズ問題に対するテレビ各局の自己検証番組をめぐるインタビュー記事において、次のように述べている。今回の問題で特にクローズアップされているのは、2011年に出された国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」です。取引先の企業において人権の問題がある場合には、取引で利益を得ている

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