BPO_20周年記念誌
57/280

049BPOの20年 そして放送のこれから放送そしてBPO 14のメッセージ信コンテンツかにかかわらず、見たい時に視聴するというスタイルが主流になりつつあることも否定できない。では、放送番組とネットコンテンツの違いはどこにあるのか。それを考える上で無視できないのがBPOの存在である。テレビやラジオは視聴者や聴取者が好むと好まざるにかかわらず番組が一方的に流れてしまうという、ある意味で暴力的なメディアであるからこそ、そこには倫理が求められる。対して、ネット空間は良くも悪くも自由である。その自由さが放送では困難な冒険的・実験的な新しいコンテンツを生み出すことがある反面、迷惑系YouTuberによる動画など倫理観の欠如したコンテンツが野放しになってしまうのも事実だ。そして放送の倫理を支え信頼性を保証するのが、NHKと民放連によって設置された第三者機関たるBPOにほかならない。広大なネット空間に溢れるコンテンツや情報に対してBPOのような機関を設置することはおそらく不可能だろう。したがってBPOは、放送が放送であることの根幹にかかわる存在であると言える。しかし急激な社会の変化や放送をめぐる諸問題の発生や露呈にともなって、BPOに求められる役割も変化せざるをえないのではないだろうか。本稿では、メディアを取り巻く昨今の状況や問題を踏まえ、これからのBPOに期待したいことを述べる。BPOの範囲を超えた非現実的な妄想かもしれないが、一個人の願いとしてご容赦願いたい。

元のページ  ../index.html#57

このブックを見る