BPO_20周年記念誌
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043BPOの20年 そして放送のこれからスペシャルインタビューの中ではちょっと分かれているんですよ。パブリックに関わるっていう意識で放送番組は作ります。事務局 そういう意識を、私たち放送側がどれだけちゃんと持てるかどうかですね。是枝 これも村木がよく言っていたんですよ。すごく彼は先見の明があった。「これから機材がどんどん軽量化して、報道というのがたぶん一人で全部できるようになって、編集も全部デジタルでできるようになっていく。すると個々人が放送局化する。で、そういう放送ジャーナリストというものを放送局が抱えて発信基地になり、そこで撮った映像が蓄積されていって、放送局が図書館化していく」と。放送局の持っているパブリックっていうもの、公共性みたいなものを、たぶん村木はすごく考えていたと思います。それはべつに公的なものだから、何か制限があるということではなくて。日本にはあまりパブリックっていう概念や価値観がないから。そこは本当、とても大事だと思います。その真ん中に放送局がしっかりと立つべきです!事務局 とくに最近、その辺がはっきりしなくなってきましたね。是枝 存在するのは、パーソナルとナショナルしかないです。日本はすぐ「ナショナル」に取り込まれる。パブリックっていうと左翼だって言われるんですよ。全然違う価値観のはずなんですけど。ネットは気にしません。Twitter(現・X)はもうやめました。面倒くさいなと思ってやめました。そこで書かれている感情的なことで、何かこちらが腑ふに落ちる「気づき」があるかって言われると、ほとんどない。あんまりそれで右往左往している時間がもったいないと思っている。

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