BPO_20周年記念誌
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042どなあ。事務局 連ドラがお好きっていうのは知らなかったです。是枝 とにかく、連ドラが一番やりたいです。見出しにしてください。事務局 関連するんですけど、特に若い世代の見る側にとってみれば、テレビ番組とネット配信されているものとは、あまり区別なく見られているわけです。境目が、見る側にとってなくなってしまっていると思うんです。そういう意識で新入社員は放送局に入ってきているので、放送法についての理解もないですし、放送の原理とは何だろうっていうことを考えなくなってきているんだと思います。テレビの前にリアルタイムで座る人も、以前より少ない。こういう中で放送の存在意義ってなんでしょう? どこに、どんな矜きょう恃じを持つべきなのでしょうか?是枝 「パブリック」じゃないでしょうか。ネットに上がっている「個人が撮ったもの」は、どこまで行ったって「パーソナル」だと思います。それの面白さと自由さもあると思いますけど、放送局はやっぱりパブリックな場であり、発表の場であり、蓄積されていく器。事務局 そういう強みはありますね。是枝 そこが強みだったと思います。テレビには「映像の図書館」という側面があるじゃないですか。それがこれだけの年限で続いてくれば。そこに携わる人間にとって重要になってくるのはパブリックに関わるっていう意識だと思うんですよ。人が生きていくうえでパーソナルな時間はもちろん必要だけど、パブリックに関与する、参加するっていうことも人間として絶対に必要です。放送に関わる作り手として、ですけれど、僕は放送に関わることと映画を作るってことは、自分

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