BPO_20周年記念誌
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035BPOの20年 そして放送のこれからスペシャルインタビュー彼は1年で辞められた。こんなにテレビの現場のレベルが低いと思わなかったって言っていました。同じく、ものを作る人間として、ここまでレベルが落ちているっていうことに衝撃を受けたって言われていた。これはショックだった。僕はずっとテレビでやってきた人間だったから。でも、そう言われてもしょうがないなっていう状況がどんどん加速度的に進んじゃったんですよ。送られてくる番組を観ていると「馬鹿を装っているのかな、このディレクターは、プロデューサーは」って思うんだけど、「ただの馬鹿でした」という報告書になって局から届く。意図的だと言うと倫理違反になるから、「知らなかったんです」で済まそうとしているのかと思うじゃないですか。ところが「本当に知らないんだな」っていうことが分かってくる。するとBPOの意見書が「廊下を走るのは危ないからやめましょう」というレベルになるじゃないですか。本来もう少し本質的な、演出とは何なのかとか、放送とは何なのかってことに触れて、意見書として、メディア論として読み応えのあるものを書きたいし、そういう案件を話し合いたいのに。事務局 BPOの委員を9年間おやりになって、思うことはありますか。 是枝 政府の放送局介入の問題は、本当にすごく大きな問題だと思っている。これに対して放送局自体が沈黙していることが考えられないっていうか、もう支持できない。黙られちゃったら、BPOのやっていることは一体何なんだろうなって思います。これに加え、スタンスの違いを超えて放送局が連帯できないっていう状況がある。その状況がやっぱり一番、憂慮が深い気が。けしかけるわけじゃないんですけど、BPOが

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