BPO_20周年記念誌
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030局の意味というのは、おそらく映画も一緒なんですけど、60年なら60年の間に蓄積された信頼と経験があるじゃないですか、それが継承されれば。継承しなくなっているけど(笑)。その信頼というのが、放送局のブランドを作っていると思うんですよね。それはやっぱり、すごく大きなことだと思います。映画館が、30年続いたアートハウスっていうものが、そこに集って映画を見た人の記憶として蓄積されていくと文化発信基地になる。だから潰つぶしちゃいけないんですよ。いくらシネコンのほうが見る環境としては整っていても、シネコンは文化発信基地じゃないんですよ、やっぱり。かかっている映画がどうこうは言いませんけど、やっぱりそこの多くは映像が消費されていく場なんですよ。よっぽど意識が高くないと、シネコンという場所は劇場の記憶として残らないですよね。事務局 是枝さんは最近、Netflixでお仕事を始められましたが、どういう意識をお持ちなんですか。是枝 僕はドラマが好きなので。連続ドラマが実は一番好きなものですから、映画以上に。事務局 連ドラですか!是枝 連ドラで育っているので。連ドラのフォーマットっていうのが、僕が一番やりたいフォーマットなんですよ(笑)。できないですけど。事務局 例えばでいうと、NHK系ですか、久世光彦系ですか。是枝 鴨下信一ですね(笑)。山田太一、倉本聰、向田邦子で育っているので。そこが原点なんです。どうしても「そこを」っていう意識が強いです。それはもう今の民放地上波では僕に任せてもらえないので。事務局 任せてもらえませんか?

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