BPO_20周年記念誌
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028ここの現場は誰も大きな声を出さない現場なんだよっていうのが徹底されたのは、『歩いても 歩いても』っていう2008年の映画ぐらいからです。これで大丈夫だなと思ったのは。難しいですね、やっぱり。ハラスメントが難しいのは、している側に自覚がないからだと思います。「え、何で。そんなことで傷つくの?」っていうことじゃないですかね。事務局 テレビにはまだ残っていますね。是枝 今、テレビの方がひどいですね。話を聞くと、テレビのドラマの現場とかが一番、今、やばいんじゃないですかね。労働環境もそうですけど、やっぱりOAに間に合わせなくちゃいけないんで。ひどいと思いますね。寝られないですからね。寝られないし、怒鳴られるしっていう。僕はたまたま助けてくれる人が周りにいたから、何とか乗り切れたけど。それでやめてっちゃった子たちもたくさんいる。それだと今はもう、映像業界が働く場所として選んでもらえない。賃金は安いし、憧れの職業じゃなくなっているっていう状況は、制作会社なんか特にそうです。僕らの頃はまだ、テレビマンユニオンっていうと幻想があった。入ったらとんでもなかったけど、正直言うと(笑)。入ったらハラスメントの宝庫だったけど、当時は夢があったから。放送局受かったけど、ユニオン来たっていう人たちもいたぐらい。今はもう、僕が選考委員になったとき、やっぱり放送局に受かれば、テレビマンユニオンは内定が出ていても、蹴って放送局へ行く時代です。当たり前のように仕方がないなと思いますけど。そもそも制作会社を受けにくる子たちの数が、少子化もあるんでしょうけど、本当に少なくなっちゃった。

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