BPO_20周年記念誌
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025BPOの20年 そして放送のこれからスペシャルインタビュー僕は映画のほうへ移ってしまったから、そのときの村木の考え方とは違う「作り手」になっていると思いますけど、そういう問いを問い続けていた世代の影響を受けた最後の世代なんですよね。*1 TBSをやめた萩元晴彦・村木良彦・今野勉の3氏が1969年に出したテレビ論の古典。2008年に文庫化。作家主義に陥る危険是枝 そういう意味で言うと、今、ネットに流れている一般の人が撮った映像のほうが、当時、村木たちが語っていたことに近くなっているんじゃないかな、一般の人の捉え方としては。だからテレビのほうが不自由で、いろいろなルールにがんじがらめになっていて、生の現実からは遠いというふうに、見られているかもしれない。事務局 作家主義についてもネットのほうがありますか。是枝 僕はそうは思いませんけど。ただ出演している印象ですけども、ラジオのほうが圧倒的にパーソナリティーの「個」が立っていますよね。テレビはやっぱり顔が見えなくなってるなっていうのはすごく感じます。事務局 映像はないけれど、ラジオのほうが顔が見える? 是枝 ラジオは、自分が番組に呼ばれたときに、「あの人のラジオなら出よう」っていうのが明快にあるんです。その人の語りに身を任せて1時間過ごせますから、視点がすごく明快ですよね。テレビは関わっている人間の多さと組織の大きさで、見えなくなっていると思います。作り手の顔が見えないっていうのはすごく感じます。ただ、じゃあ作り手の顔が見え、作家主義に陥ると、またちょっと違うんですよね。それはテレ

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