BPO_20周年記念誌
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216分野を所掌するが、基本的に「表現の自由」を定めた憲法修正1条を尊重し、さらに1987年には放送の政治的公平を求めた「フェアネスドクトリン」を廃止するなど、番組内容は放送局の自主的な判断にほぼ任され、問題があれば法廷で争われる形だ。こうした中でドイツのテレビ自主規制機関FSFは放送界自らが設立した組織で微かに縁があった。2018年にドイツ政府が企画した「メディアの自主規制に関する視察」に招待され訪れていた。ドイツの放送は、法律で青少年保護が求められており、時間帯ごとに放送内容に基準を設け、FSFは必要に応じて番組の格付けを行なっている。制度・仕組みは違うが放送界自ら立ち上げた点でBPOと共通している。まずはFSFとの関係を固め、他の仲間は時間をかけて増やすことにした。新型コロナ対策による人々の交流自粛も追い風になった。というのもBPOの国際活動は低予算で海外出張も想定していない。訪問客もなくウェブサイトの拡充に専念でき、さらにオンラインでの交流が世界の常識になったことで日本を出ずに国際交流が可能となった。旧知のABU事務局長にメールで連絡、オンラインのABU総会でBPO紹介の機会を確保しワークショップも実現した。すると姉妹組織のAIBDアジア放送開発機構からもオファーがありセミナーを2回開催したほか、2023年にはインドネシア・バリ島で行われたアジアメディアサミットに招待され40カ国500人を前にBPOを紹介する機会を得た。またウェブサイト拡充の効果も徐々に表れ「英語サイトを見た」と問い合わせが来るようになった。トルコのラジオ・テレビ最高評議会からは幹部がInter BEE視察に合わせて来訪、BPOの自主・自律に関する説明に強い関心を示し「ぜひトルコでも導入したい」と言って帰国した。その半年後、彼らからBRAF黒海放送規制機関フォーラムの議長国として連絡があり、総会にオブザーバー参加するよう求められた。BRAFにはロシア、ウクライナも加盟し興味深い会合だったが今回は参加を見送った。

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