BPO_20周年記念誌
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013BPOの20年 そして放送のこれから巻頭対談界に生きるのではなく、自分の人生を豊かにしていく、その手がかりになるのだと思います。またそれが、実践的な成果の質を高めることにもつながるはずです。教養の学びはそういうふうにあるべきだ、考えるべきだと言っているのですが、放送からも今のような感覚を感じ取ってほしい、感じ取らせる放送であってほしいと思います。自分の興味のないことだったが、たまたま放送で見聞きしたら、こんな地域に行けばこんな知らない面白いことがあったのだとか、あるいはこんな材料を使ってこんな料理の仕方があったのだなど、いくらでも思いがけないところに広がっていくわけです。本を読むこともそうなのですが、自分が知らない世界に思いがけなく出会う機会を提供することは放送の役割で、人生にとってそれが大切なのではないでしょうか。それを理解してもらえる社会・時代を作っていく必要があり、そこで放送は要となる役割を果たしていかなければならないと思います。大日向 その通りですね。濱田 今の若い人たちは、自分の好きな世界にだけ閉じこもってしまって広がりがないと指摘されることがあります。これは極端な評価でしょうが、多様性の時代にこそいっそう社会全体を見る目が必要で、全体を見ながら自分が成長していくのだと思います。成長という言葉は硬すぎるかもしれませんが、人生を面白くしていく、そういう役割を担うものとして放送が位置付けられれば良いと思います。BPOの役割というところでは先ほど言いましたように、BPOがあまり先に立つべきではないという感覚を持っています。むしろ、こうした形

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