BPO_20周年記念誌
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170一つに「アテンションエコノミー」が考えられます。マスメディアでは、ネットが普及する前から批判をあおる報道というものが一つの手法としてありました。特定の人物や事柄を非難したり、あるいは出演者や誰かを悪役に仕立てる、という番組の作り方は以前からあり、見ている側もまた、そういう内容を望んでいるということもあったわけです。人は、正義感をもとに誰かをバッシングすると快楽物質ドーパミンが出る、という話があります。悪役を徹底的にさらし上げる、つるし上げる。そこに参加すると自分も気持ちよくなってしまうということが、人間の性さがとしてあります。批判をあおるコンテンツ作りは視聴率が稼げる、という側面があったことも否めないのではないでしょうか。ネット上の声と現実社会とのギャップ山口 さらに、怒りの感情が最も拡散されやすいということが研究でわかっています。人々の怒りをあおれば話題になりやすい。ビジネスとして考えれば、より効果が高いということになります。テレビだけの時代と違ってSNS時代では、あおり、あおられた大量の攻撃、非難や誹謗中傷が誰にでも見える形で拡散されてしまう。刃やいばとなって出演者個人に直接向けられる。ネット炎上がひとたび起こると、世界中の人がその人を攻撃しているように見えます。しかし、炎上1件について、X(旧Twitter)上でネガティブな書き込みをしている人はネットユーザー全体の0.00025%で、40万人に1人という少なさです。そしてごく少数の声が反映されているだけではなく、そのなかのさら

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