BPO_20周年記念誌
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009BPOの20年 そして放送のこれから巻頭対談にご覧になられていますか。濱田 社会が変化するなかで、BPOの役割をどう受けとめるかですが、お互いに絡み合った二つの着目点があると思います。一つは、今の社会の複雑化や変化に放送がどう向き合うかということです。私はある意味、一種の割り切りが必要だと思っています。それは原点である、放送の持つ公共性と社会的責任をしっかり押さえていけばよいということです。もう一つは、いろいろな考え方や価値観、生き方など、多様性が認められる時代になってきましたが、一方でバラバラになっていく危険、強く言えば分断のリスクというものが社会にあるということです。それをSNSなどが加速している部分もあります。そうすると放送がやるべきことは、今まで以上に多様性というものをしっかり拾い上げながら、どうやってそれらを繋ぎ合わせてプラスにしていくのか、ということではないでしょうか。それが放送のとても大事な役割です。その意味でも、放送はネットメディアと素朴に共振してしまったらダメだと思います。SNSの話題を取り上げて社会的なテーマにしていくことも大事ですが、SNSのムードに流されずに、どうやって視聴者・聴取者がより広く共有し議論を深められる話題にしていくのか、ということが放送の役割であり、放送の持つ公共性と社会的責任だと思います。放送局の経営者は、経営を安定させて、番組作りをもっと自由に制作者たちに任せるという構造ができると良いと思います。そのぐらいの思い切りをしないと、今の時代、放送の存在価値は落ちていくばかりになるのではないでしょうか。社会の幅広い多様性に真剣に向き合おうとすると、制

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