BPO_20周年記念誌
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161BPOの20年 そして放送のこれから放送そしてBPO 14のメッセージ通学中の児童の列に酒酔い運転のトラックが突っ込み、死傷者の友人の児童に行われた取材の中で、亡くなった子どもへの複雑な気持ちを誘導的に引き出すような質問がなされたことに対して、多くの視聴者から批判的な意見が寄せられたことがありました。痛ましい事件の想起によってPTSDなどの誘引となることが懸念されました。青少年委員会では、2001年の米国での同時多発テロ事件の映像による多数の子どものPTSDの発症という事実を受けて、「衝撃的な事件・事故報道の子どもへの配慮について」という提言を出しています(2002年3月)。事件を直接目撃しなくても、ニュースの画像を視聴しただけでPTSDが起こりうるという子どもの脆弱なストレス耐性が示されたのだと思います。さらにこの当時にはなかった現代的状況があります。それはビデオ録画くらいしかなかったころと比べ、現在では放送された映像がSNSなどで広く拡散されてしまう危険性があるということです。顔出しで応じた取材の画像が、時間的にも空間的にも繰り返し広く拡散再生され、二次的な反応が取材を受けた児童に帰ってくる可能性があるのです。先に述べた事件や災害現場での時間との勝負という状況の中で、例えばこうした予見できない画像の拡散について、保護者や本人に説明できたかどうかという課題が残った事例でした。青少年委員会の課題と抱負青少年委員会は「視聴者からの放送への苦情や放送倫理上の問題」を受けて活動するとBPOの規約に

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