BPO_20周年記念誌
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160まいました。大人にとっては他愛無いことのようですが、実際の幼稚園活動の中で同等のことが行われれば、これは明らかないじめ行為にあたります。最近の子どもの発達の大きな課題にレジリエンスの発達があります。レジリエンスとは、「逆境や脅威的な経験にもかかわらず、よい適応を遂げるプロセス、能力、または結果である」と定義されており、人が様々な社会生活でのストレスに耐え、あるいはストレスを乗り越えてゆくために必要な基本的心理的能力と解されています。そのレジリエンスを強くする因子の一つに「友達から支えられていると感じていること」があることが明らかにされています(注)。子どもは楽しく遊ぶことによって、社会性やレジリエンスを身につけてゆくという心理学的事実に照らし合わせれば、前記のようなドッキリ体験が、それを体験した子どもにとって深い心理的トラウマにつながってゆく可能性があることがわかります。(3) 取材対象の青少年への影響を考える事件や災害現場での1秒を争う取材活動では、現場にいる目撃者からの一次情報の収集は最優先の課題です。目撃者が青少年であっても、とりあえず取材対象として目撃情報を得るという行動は取材記者の方々にとっては原則であることは理解できます。しかし、事件や災害という非常事態の目撃によって、子どもは大きな心理的な衝撃を受けていることも事実です。そこで目撃した内容を反はん芻すうすることは、子どもの心理的トラウマを深める結果につながることがあることも念頭におくべきことだと思われます。

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