BPO_20周年記念誌
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159BPOの20年 そして放送のこれから放送そしてBPO 14のメッセージバラエティー番組の中で、リアリティーショーとして演出される「痛みを感じている」出演者を、他の出演者が笑い、時には揶や揄ゆするような場面は、多くの大人にとっては「作り込まれた」ものであると理解されますが、青少年、特に幼年期の青少年の共感性獲得のプロセスを阻害する可能性があります。1〜2回の視聴では顕在化しないまでも、年余にわたってそのような場面を視聴することによって、全国の大勢の青少年の共感性の発達に影響を与える可能性があるのです。こうした脳科学的知見を、番組制作者にもご理解をいただくために2022年4月に「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解を発出し、在京局の関係者との意見交換会で説明いたしました。 (2) 青少年の出演者への影響を考える前記のような視聴者の青少年だけでなく、出演している青少年への配慮も必要になることがあります。見解や委員長コメントには至らず、青少年委員会の中での「討論」で終わりました(議事録として公表されています)が、次のような番組がありました。ある幼稚園での子どもたちの「かくれんぼ遊び」で、鬼役の子が数を数えているうちに、隠れている子どもたちを別人と入れ替え、見つけた鬼役の子をびっくりさせる一種のドッキリ番組が放送されました。収録された幼稚園にはきちんと番組趣旨が説明されたようですが、鬼になった当人は知り合いの子どもだと思ったのに、別人に替わっていたので当惑し、鬼になったひとりの子どもは、その場から逃げ出してし

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