BPO_20周年記念誌
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144権力が監視すべきではないか。これが、質問の根幹にあるに違いない。たしかに、一般企業には、それぞれ所管官庁があり、事業が法令に違反する場合には、行政指導や行政処分がなされることがある。それと放送局は一体どこが違うのか。同じ表現を生なり業わいとする新聞や雑誌には監督官庁はないから、表現の内容に関する規制を政府が行うことはできない。行政的に直接規制をする法令もない。内容が問題となり得るのは、名誉毀損、プライバシー侵害、差別的表現、著作権侵害などであり、その最終的な解決は司法に委ねられている。他方、放送局は免許制の事業であり、その限りで総務省が所管官庁となっている。他の表現機関とこの点で違いがあるものの、放送局が政府による放送内容つまり表現の規制を容認しているとは思われない。ご承知の方が多いだろうが、NHKと民放連はBPOの設立に際し、「放送倫理・番組向上機構の設置等に関する基本合意書」を取り交わしている(全文はBPOのウェブサイトに公表)。その冒頭には次のように書かれている。「放送倫理のさらなる向上に努め、視聴者により信頼される関係を築くため、まず放送局自らが視聴者の意見を真摯に受け止め、苦情等に迅速に対応できる体制を整備するなど、自律的取り組みを一層推進することを確認した。その上にたち、第三者機関の機能の強化と第三者機関に対する各放送局の対応の改善を図り、放送界全体として自主自律体制の確立を目指すことで合意した。」

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