BPO_20周年記念誌
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143BPOの20年 そして放送のこれから放送そしてBPO 14のメッセージては、BPOの調査の実効性にも疑問が投げかけられることになるだろう。BPOと放送局は、放送倫理検証委員会が発足した当時、合意書を結び、自主的な報告のほか放送済みテープ等関連資料の提出および事情聴取の求めへの応諾、勧告の遵守と見解の尊重、それらの周知、勧告等に伴い再発防止計画の提出、事案発生の報告等について、相互に確認をしている。これは他の委員会にはない特徴であり、放送倫理検証委員会の調査・検証が実効的に行われるようにするためのものだった。もちろん合意書で、報告や事情聴取において真実を語ることを求めているわけではない。しかし、ここで真実を語らなければ、事実を報道するという放送局の日常の役割に背理することになるのは間違いないだろう。「いやな感じ」の正体先の質問から受けた「いやな感じ」の正体は、突き詰めると次のようなことになるのだと思う。講演をした団体は国の行政機関の下部組織であり、講演に参加した方々は民間人ではあるものの非常勤公務員として職務を行っており、その権限は法律に裏づけられたもので相応に大きく、彼らの権限行使は、当該行政機関の長である大臣が指揮監督することとなっている。こうしたバックグラウンドを持つ方々にとっては、民間の任意団体の活動が政府の統制を受けることなく、公共の電波を利用する放送局に対し調査をして意見書をまとめ、時には勧告まで行うことが信じられないということなのかもしれない。そのような強大な権限は、公権力であるならば持つことができるが、民間団体が持つならば、その権限行使をさらに公

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