BPO_20周年記念誌
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007BPOの20年 そして放送のこれから巻頭対談会の方の質問に対して、タモリさんは、番組が始まるときに事務所の社長から「スカスカの番組をやれ」と言われたからだと答えておられました。「視聴率は気にしなくてもいい・爆笑を取らなくてもいい・間違ってもいい」と言われて、それでこれまでやってこられたということでした。その話を伺った時、その社長は素晴らしいメッセージを伝えられた、受けとめたタモリさんもまたご自分の物差しを常に確認しながら、ご自分が本当に面白いと思うものを懸命に追求されてきたのだと思いました。40年前の放送界には、試行錯誤していい、間違ってもいいという文化があったのだと、感銘を覚えました。このことを私は、これからの放送現場の方たちと分かちあいたいと思いました。ATPの受賞式に登壇された皆さんは、若いディレクターたちでした。懸命に番組を作っていて、テレビはオワコンじゃない、そこに夢を託したいと言っていました。そういう人たちにすぐ視聴率だとか視聴者クレームだとか言って、委縮させてしまうのはもったいないと思いました。濱田 貴重なお話です。自分の物差しを持つことは放送だけではなく、表現に携わる者の原点だと思います。試行錯誤できる環境は、かつてよりなくなってきているように思います。制度だけでなく、ネットメディアとの競争もあれば、視聴率の全般的な低下傾向もあり、経営的な問題もあるでしょう。これからの放送界にとってそこをどう乗り切るかが、本当に一番の肝になるところです。BPOの役割は放送の公共性を後押しすること大日向 社会やメディア環境が激変するなかで、BPOは放送における自由と質の確保をどのよう

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