BPO_20周年記念誌
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140この人は私の話を聴いていなかったのだろうか、といぶかしく思いながら、BPOの仕組みは日本独自のものであること、BPOは中立性を保つため、評議員会で委員の人選をしており、第三者性が徹底されていること、放送倫理検証委員会の意見書に対して放送局が反論をしたこともあること、BPOの活動は報道されることも多く、一般の視聴者がその活動に触れる機会があり、批判の対象となり得ることなどを説明した。しかし、質問者の表情は変わらず、私の応答に納得していないことは明らかだった。この質問から受けた「いやな感じ」は消えることなく、頭の片隅に引っ掛かっていた。BPOの役割の根幹にかかわっている気がする。少し掘り下げて考えてみよう。BPOは第三者機関として信頼に足りるか放送局の第三者機関を第三者がチェックしないのかという疑問が出てくるのは、そもそもBPOは第三者機関として信頼に足る組織なのかという疑問とつながっているのかもしれない。何をもって信頼に足るかの基準化は難しいところだが、その一つとして、組織の人選が調査や検証をする対象の放送局と一定の距離をもった形になっているかが問われるだろう。企業の不祥事があった際に、調査・検証を行うために第三者委員会が作られることがあるが、その第三者委員会の委員に顧問弁護士を選ばないことはよくある。顧問をしていれば、その企業の実情も把握しており、調査・検証に情実が入り込みかねないからだ。もち

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