BPO_20周年記念誌
146/280

138視聴者応対ある番組でタレントがチェーンソーで木の伐採に挑戦したヤマ場。その最終段階がいろんなアングルから繰り返されるが、なぜか切り終えた瞬間の映像だけがない…。専門的な知識を持つと思われる視聴者からの意見で疑問は氷解しました。「伐採後、倒れて他の木にもたれかかった状態で木をカットすると思わぬ方向にはねることがある。危険なシーンをカットしたのでは?」。なるほど。視聴者の意見はいろんなことを教えてくれます。トーク番組でタレントが何気なく語った「薬が飲み込みにくいときの対処法」に潜んでいたリスク。リスナーメールの小鳥を守るエピソードには違法行為が…。番組制作に落とし穴はつきもの。「ひやり」とした経験が力になるとはいえ、ひとりの制作者、ひとつの番組、ひとつの放送局ができる経験には限りがあるのも事実。BPOのウェブサイトなどで公表している視聴者意見にはこうした「ひやり体験」を意識して盛り込んでいます。公表した意見の例をもうひとつ。「芸能事務所の未成年者への性加害疑惑を(日本のメディアが)一切報じないのはなぜか」(2023年3月分)。BPOにこうした意見が届き始めたのはイギリスBBCがこの問題を報じたほんの数日後でした。「2004年の裁判をメディアが報道していたら、被害者は減っていたのではないのか」(同4月分)。視聴者の当然の疑問は結果、この問題が進展する方向を示し唆さしていたともいえます。こうした日々の意見には「BPOの見解」などとはまた違った「滋養」があります。視聴者意見が、またそれらを放送各局にめぐらせる作業が番組制作者の皆さんの新たな力になればと願っています。(統括 竹元 博文)めぐれ視聴者意見

元のページ  ../index.html#146

このブックを見る