BPO_20周年記念誌
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006合には、社会的責任を伴う分限とは何かということを考えなければならないのだと思います。大日向 自由と自律は他者によって恣意的に課せられる制限ではなくて、自らがあるべき制限とは何かを真剣に考えていくこと。それが社会的責任でもあるとすると自由の分限、そして自由と自律のバランスを考えていくことは、まさに放送に携わる人達の永遠の課題になりますね。放送現場には試行錯誤も必要濱田 自由と自律のバランスをどうとるかという時には、試行錯誤があると思います。試行錯誤の余地がないとバランスを生み出す緊張感は保たれない。ちょっとでも間違ってはいけないと自由を押さえてしまうと、自律との生き生きとしたダイナミズムがなくなってしまいます。この試行錯誤という要素が、自由と自律のバランスには必要だと思います。その仕組みを後押しするのが、BPOの役割でしょうね。大日向 それはすごく大事なポイントだと思います。今はなかなか試行錯誤させてもらえない社会になっているように思います。教育現場でも学びの成果がすぐ求められ評価されます。今の放送現場でも、自由と自律の境界線について試行錯誤を重ねながら高めていくということが難しくなってきているのではないでしょうか。7月に全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)の「第39回ATP賞テレビグランプリ」受賞式に出席いたしました。私にはとても新鮮で、大変すばらしい受賞式でした。そのなかで『タモリ倶楽部』制作チームが特別賞を受賞し、タモリさんと番組のスタッフが登壇されました。『タモリ倶楽部』は2023年3月まで40年間続きました。なぜ40年も番組が続いたのかとの司

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