BPO_20周年記念誌
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126ため制作費はかなり抑えられている。映画館との交渉や宣伝を担当する配給会社との契約が必要だが、局制作のこうしたドキュメンタリー映画は、1万人がチケットを購入してくれればある程度の黒字化が見込める世界であるという。動画配信サービス等への展開で、ロングテールのマネタイズが狙える可能性もある。そして何より、放送枠のような制約のない世界で勝負するということは、制作者のモチベーションの向上につながり、優れた制作者を育成する先行投資と見ることもできる。「ジャーナリズムは放送局の使命だから稼がなくてもいい、という時代ではない。ローカル局でドキュメンタリーの制作を持続可能なものにしていくためには、せめて自分達の制作費くらいは稼げるような仕組みを作っていかなければならない」。あるローカル局所属の映画監督の言葉が、今も強く印象に残っている。「地域の情報・番組を全国・世界へ」⑥で示したこの機能(前頁図参照)については、ネット配信という形でほぼ全てのローカル局で取り組まれている。各局でコンスタントにマネタイズできているのはニュースであろう。自社のウェブサイトやアプリ上での展開と同時に、SNSやYahoo!・YouTube等の外部プラットフォーム、系列のニュースネットワークが運営するニュースサイトに同一コンテンツをマルチ展開するということも、ここ数年で一般化してきた。では、バラエティーやドラマについてはどうだろうか。そもそも制作しているローカル局はそう多くは

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