BPO_20周年記念誌
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125BPOの20年 そして放送のこれから放送そしてBPO 14のメッセージ自局らしい未来像を描いていくことができるのか、どこに注力していくことで自局のブランド価値を高めていけるのか、経営資源の選択と集中が始まっているのである。以下、いくつか特徴的な最近の動向について触れていく。「地域の民主主義の基盤」上図②で示したこの機能は、①の「ライフライン情報提供」機能と共にローカル局の存在意義そのものである。近年増えているのがローカル局によるドキュメンタリー映画の制作である。戦争の歴史や基地問題を全国に問う作品、議員の不正、核被害、警察による言論弾圧といった骨太の社会問題に挑む作品、家族や地域社会のあり方を定点観測から見つめる作品、メディア自身のあり方を意欲的に問い直す作品等、テーマも題材も実に多様である。その多くが、ニュース・情報番組の短い企画から継続取材をして、自局やキー局のドキュメンタリー枠で放送、それを映画化するという形で行われている。内製化している今日の地域メディア機能の分類(私見)①ライフライン情報提供(命や暮らしを守る)1.平常時:住民生活で安心・安全に役立つ情報を伝える2.有事;命を守るため、混乱を防ぐための情報を 正確に、迅速に、きめ細かく伝える3.有事:流通する住民発信情報を整理、選択して共有する②地域の民主主義の基盤1.地域で起きている出来事を、幅広く、正確に、平易に伝える2.地元の政界・財界・行政等の権力を住民に代わって監視し、 地域社会がよりよい方向に向かうための問題提起を行う3.調査報道や定点取材によるニュース・ドキュメンタリー制作4.分断や対立が深いテーマ、住民の痛みを伴う政策に対し、 異なる意見を提示したり、議論の場を設けたりする③住民の暮らしに役立つ情報や彩りを提供1.暮らしに役立つ情報(トレンド・トピックス等)2.バラエティー番組、スポーツ中継、ドラマ制作等④住民の誇りを育み、文化を継承・創造1.産業振興、スポーツ振興、一次産業支援、次世代育成等2.歴史(アーカイブ活用)、文化、教育への関わり⑤全国・世界の情報・番組を地域に※全国の情報・番組を地域に届ける(ネット番組・購入枠)⑥地域の情報・番組を全国・世界へ※地域の情報・番組を全国・世界へ届ける(ネット配信)⑦地域プロモーター1.自治体や地域、企業と連動したイベント企画等2.ふるさと納税や通販・eコマース等。地域商社化等3.海外コンテンツ展開や産品輸出、インバウンド対応⑧地域プロデューサー1.地域活性化、地方創生、様々な課題解決のため、 自治体や各組織、メディア、住民をつなぐハブとなり、 コミュニティー作りや改革や新事業を生み出す下支えを行う2.地域ビジネスの育成や事業継承等に関わり、 域内の資金循環に主体としてコミットする⑨地域住民のサポーター※育児中の世帯、高齢者や障がい者、生活困窮者等が取り残されないための情報提供、居場所作り、具体的なソリューションの提供

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