BPO_20周年記念誌
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005BPOの20年 そして放送のこれから巻頭対談る問題で、これからBPOがどうあるべきかを考えていく時にも外せないキーワードだと思います。濱田さんのご寄稿の後に「民放online」に寄稿された評議員の清家篤さん(※1)が、自由には分限があり、自由と分限は二律背反なのだということをおっしゃっておられます。今は多様化を尊重する時代ですが、個人の自由の尊重とともに、一定の分限があることを認識するのが大切であって、それが本日のテーマでもある「放送が文化にどう貢献するか」ということにも繋がっていくと思っております。※1 慶應義塾大学名誉教授。元慶應義塾長(2009〜2017年)。日本赤十字社社長。2019年10月よりBPO評議員。濱田 自由と自律の関係はとても難しい問題で、これは放送の分野に限らず、あらゆる分野に共通してあるはずです。そしてどの分野においても自由と自律の間には明確な境界線がないと思います。境界線を引くより大切なのは、自由と自律の間に常に緊張があって、ある意味ではお互いに育て合うという関係が維持されていることです。どちらかにバランスが偏り過ぎてはいけません。公的規制が入ればその緊張はなくなり、明確な一線が定まってしまいます。加えて、放送の分野においては、放送が持つ社会的責任を考える必要があります。これは制度的にも社会的な役割としてもそうであって、放送の自由と自律を考える時は、社会的責任というものをどのように組み込んでいくのかということを常に考えなければなりません。言葉を換えれば、放送の持つ公共性ということになります。清家さんがおっしゃる分限の意味も、放送の場

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