BPO_20周年記念誌
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112は「テレビはもう終わった」「放送外収入に頼るしかない」「また若い社員が辞めた」といったネガティブな言葉ばかりが耳に入る。 「テレビとはあついものなり」。70年前のテレビの草創期に活躍したNHKの宮田輝アナウンサーが残した言葉だ。経験や知識が不足していた時代に、失敗を繰り返しながらも「紅白歌合戦」や「のど自慢」などの人気番組を生み出した。その原動力は「面白い番組を作ろう」という情熱。インターネットが主流になり、テレビが変革を迫られる現在は、70年前と同様に「新しいテレビの草創期」である。そんな時代だからこそ、「組織」や「視聴率」、「BPO」に縛られることなく、テレビの原点に戻って自由な発想で番組を作ることが必要なのではないだろうか。青臭い精神論と思われるかもしれないが、大切なのはやはり「情熱」である。いま私は若い頃の情熱を思い出して、学生と一緒にドキュメンタリーを作っている。熱い志を持った学生をテレビ業界に送り出し、恩返しをしたいと考えている。(※1)光市母子殺害事件の差戻控訴審に関する放送についての意見(2008年4月15日)(※2)東海テレビ放送『ぴーかんテレビ』問題に関する提言(2011年9月22日)

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