BPO_20周年記念誌
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111BPOの20年 そして放送のこれから放送そしてBPO 14のメッセージに売上や収益は会社が存続するために必要だが、テレビは公共の役割を担い、国民にジャーナリズムを提供するべき存在。視聴率や再生回数に固執しすぎると、いまのテレビにとって最も大切な「信頼」を失う恐れがある。「BPO」に萎縮するな物議を醸かもす番組を制作する際、上層部からの「BPO的に大丈夫?」との問いにしばしば直面する。BPOは放送業界を監視する組織ではないが、審議の結果次第では大問題に発展しかねない。そのため、制作現場は慎重になり、穏健な内容を選びがちだ。特に政治的な問題に触れる場合、自己規制と静観が支配的である。表現には覚悟が必要だ。時には法的リスクを抱えてでも放送を決断すべき時がある。倫理的な視点をしっかり持ったうえで、ギリギリまで挑戦することが、いまのテレビに求められている。「テレビとはあついものなり」最近、テレビ局内で目をギラギラさせている人が少ない。私が入社した30年前には、ディレクターが夜の街で朝まで番組を語り合い、記者が「視聴率は関係ない。自分のやりたいニュースを報道する」と豪語し、カメラマンがこだわりの映像を撮影するためにスタジオで激論を交わす姿があった。しかし、最近で

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