BPO_20周年記念誌
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110もうひとつが視聴率。テレビ局でニュース制作をしていた頃は、「視聴率の高い番組が良い番組」といった社内の雰囲気にのみ込まれて、ビデオリサーチの数字に一喜一憂していた。そして数字を意識して分単位でニュースの項目を決めていた。しかし一般の人は視聴率を知る術がないし、関心もない。学生のアンケートでも「テレビの視聴率を知りたいと思うか?」と聞いたところ、「思わない」という回答が8割を占めた。あくまで視聴率は営業的な指標に過ぎない。当時、私は誰に向いてニュースを発信していたのか、いま思うと恥ずかしい。「テレビとはあついものなり」テレビ局を離れた現在、「あの時、こうしておけば良かった」という後悔が数多く心に残る。数々の失敗を経て得た教訓を3つ記す。「視聴率」と「再生回数」にこだわり過ぎるな現在のテレビ制作は視聴率や再生回数を追求しているため、学生が指摘した通り、似たり寄ったりの内容と出演者が増え、オリジナリティーが希薄になってしまった。午前・午後帯は同様のニュース・情報番組が並び、ゴールデンタイムは街歩きやグルメ、ひな壇で芸人がトークするバラエティー番組が占拠。深夜には低予算のドラマが量産されている。一方で調査報道やドキュメンタリーは年々、減少傾向だ。確か

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