BPO_20周年記念誌
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109BPOの20年 そして放送のこれから放送そしてBPO 14のメッセージまた、この時期はコロナ禍の影響で、どの局も売上が激減した。そのためキー局はインターネット戦略に注力して、同時配信やTVerなどの配信事業を推進し、地方局の未来に不安が募った。その折、母校の大学から教員の誘いがあった。新しい仕事にチャレンジしたい気持ちとテレビの将来から逃げ出したい気持ちが重なり、迷いに迷った末に転職を決意した。テレビ局を退職して見えたもの転職して2年。辞めたからこそ見えてきた事がたくさんある。そのひとつが大学生のテレビ離れ。聞いてはいたが想像以上に深刻だった。私が所属する社会学部メディア専攻の学生370人に行ったアンケートでは、テレビを1日に1時間未満しか見ない学生が39・7%に達し、さらには全く視聴しない人も16・7%いた。メディアを学ぶ学生を対象にした調査なので他学部はさらにテレビ離れが進んでいると推測する。「なぜテレビを見ないのか?」その理由を尋ねると「どのチャンネルも同じような内容で面白くない」、「若者が楽しめる番組が少ない」、「YouTubeの方が親しみを感じる」といった意見が多く挙がった。なかには「テレビは年々規制が厳しくなり、独自性を失った」という核心的な指摘も見られた。残念ながら大学生はテレビに不信感を抱いている。最近でも旧統一教会問題や故ジャニー喜多川氏による性加害問題でテレビがジャーナリズムの役割を果たしてこなかった事が明らかになり、〝テレビ=マスゴミ〟というキーワードが学生の頭にこびりついている。またテレビ局への就職を希望する学生も私の時代より激減している。

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