BPO_20周年記念誌
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107BPOの20年 そして放送のこれから放送そしてBPO 14のメッセージこれも真実にアプローチするひとつの方法であろう」という一文があった(※1)。BPOの影響力は絶大で、経営陣は番組の放送を決断。翌月『光と影~光市母子殺害事件 弁護団の300日』(2008年)が放送された。視聴者から内容を非難する意見はほとんどなく、番組は民放連賞最優秀賞や文化庁芸術祭優秀賞を受賞し、評価を受けた。2つの放送ミスと薄れゆくモノづくりへの情熱この3年後、私の会社人生のなかで、最大の不祥事が起きる。制作局の情報番組『ぴーかんテレビ』の不適切テロップ問題だ。東日本大震災5カ月後の2011年8月、番組のプレゼントコーナーで岩手県産米の当選者を「怪しいお米セシウムさん」と放送。CG制作を担当する外部スタッフが「ふざけた気持ち」で仮作成したテロップが誤って送出されたのだ。いくつかのスポンサーがCMをストップするなど、東海テレビは一瞬にして信頼を失い、番組は打ち切られた。そしてBPOの放送倫理検証委員会は「放送倫理違反があった」との見解を示した(※2)。この問題には個人の過失だけではなく、会社が収益を上げるために番組制作費を削減し、制作現場の負荷を増大させた背景も絡んでいた。それを受け、会社は社員の放送倫理教育の強化や制作現場の増員など放送の安全性を高める努力を始めた。時が経過し、『ぴーかんテレビ』の記憶が薄れるなか、2018年に報道局で新たなミスが起きた。夕方のニュース『みんなのニュースOne』で「働き方改革」をテーマに、中小企業経営者ら5人による座

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