BPO_20周年記念誌
107/280

099BPOの20年 そして放送のこれから放送そしてBPO 14のメッセージ人もソーシャルディスタンスを保って動画に合わせてしゃべっているだけ。だったら他の動画を見たい」(26歳女性)など、当時のテレビ番組の内容への不満が多く聞かれた。テレビ視聴が増えた時期に視聴者を満足させるコンテンツを提供できなかったことが、その後の反動に少なからず影響したように思う。加えて、テレビを定時に見るのが面倒だと感じる意識もみられた。文研では「好きな番組でも毎回決まった時間に見るのは面倒だ」という意見に対する態度を聞いており【図3】、2010年の調査では「面倒だ」派が多い40代以下の各年層でも40%前後にとどまり、少なくとも多数派ではなかった。しかし2020年の調査になると40代以下で6割に達した。テレビ局が決めた放送時間に合わせるのが面倒だと考える人にとって、豊富な品揃えの動画は魅力的な代替の選択肢になったはずだ。技術の進化とメディア環境の変化で利便性が増し続ける中、放送時間に見ることに特別な付加価値がない限りはリアルタイム視聴の優先順位が下がるのは必然だろう。その受け皿になったと考えられるのがネット動画とコネクテッドTVである。「黒船」動画配信サービスとTVerわずか10年前だが2013年のネット動画をめぐる状況は今と全く違っていた。YouTubeの利用率は34%に過ぎず【図4】、各局の番組配信サービス利用率も先行したNHKオンデマンドとフジテレビオンデマンド(現FOD)で1%程度にとどまり、まだまだ限られた人々が利用するサービスという位置づけだった。

元のページ  ../index.html#107

このブックを見る