BPO_20周年記念誌
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093BPOの20年 そして放送のこれから放送そしてBPO 14のメッセージです。〝テレビ離れ〟の趨勢に逆行して、BPOの公募に申し込んでくれたみなさんですから、当然ですよね。これはモニター制度が始まった2006年とは、この取り組みの前提が大きく変わっていることを意味しています。2006年の時点で、インターネットは中高生のあいだでそれなりに普及していましたが、YouTubeはその前年にサービスを開始したばかりでした。iPhoneはまだ世に出ておらず、いわゆるガラケーにワンセグが搭載されているのが当たり前の時代でした。〝ネット動画〟という概念もまだ定着していません。当時の中学生モニターのテレビの見方は、同世代を代表していたといっても差し支えないでしょう。それに対して、現在の中高生モニターは、〝テレビ離れ〟といわれるなかで、放送に対して何らかの特別な思い入れ、あるいは問題意識などを抱いている人たちです。マーケティング用語でいえば、「エクストリームユーザー(極端な利用者)」に該当するといっても過言ではないかもしれません。従来の市場調査は、平均的な消費者の需要を把握するためにおこなわれるのが一般的で、たいていのモニター調査もそういうねらいで実施されるわけですが、エクストリームユーザー調査は、まだほとんどの人が気づいていない潜在的な価値や課題を探索し、発見できることに意義があります。平たくいえば、中高生モニター制度はデジタルメディアの革新とともに、前者から後者に少しずつ移行してきたのではないかと思うのです。BPOは20周年を迎えましたが、2025年には放送100年という大きな節目がやってきます。それは同時に、「インターネット元年」と呼ばれた1995年から、実に30年が経過したことを意味します。

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